2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の居宅における外国人家事介護労働の稼働性の循環型実証研究とその国際比較
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26380801
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
山田 健司(山田健) 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (00320664)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 外国人労働者 / 家事支援 / 居宅 / 事前教育 / 日本語能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、日本の居宅においての家事介護の仕事を外国人がどの程度できるのか、またそのための課題は何なのかを明らかにすることであり、26年度はつぎのような調査研究を行った。①香港におけるインドネシア人とその他外国人による在宅家事労働実態の実地調査、②フィリピン共和国ダバオ市の大学と恊働した、日本の居宅における家事介護労働のモニタリング調査。この②は、②-1)来日前の事前教育研修と②-2)来日後の居宅家事介護稼働性の実地モニタリング調査に区分して実施した。これらの概要は、以下のとおりです。 ①香港中文大学と恊働して実施。香港において、インドネシア出身家事労働者への聞き取り調査+NGO外国人家事労働者権利擁護相談内容の調査と聞き取り調査を実施した。外国人家事労働者受入れがもっとも早かった香港においてもなお当該労働者への権利侵害状況が生じている。その原因は、斡旋事業者による搾取、当該政府による外国人労働権利擁護政策の不徹底、労働者自身による関連情報認識の不足、等が主である。他方、近年当該労働市場の成熟により、権利侵害案件は減少しつつある。加えて、中国(本国)からの「移民」が家事労働に従事した権利侵害事件が増加傾向にある。②-1)日本における居宅モニタリングの主たる評価内容は、日本語能力、家事能力、介護能力、社会文化認知度、4点であり、この点について個人の事前能力評価と研修をダバオ市の大学で実施した。 ②-2)フィリピン人モニター男女計2名を招聘。岡山県倉敷市のサービス付き高齢者住宅、愛知県半田市のNPOデイサービスと居宅サービスの2カ所で、約2週間弱ずつそれぞれモニタリング調査を行った。 受け入れ先の機関団体の評価は、おおむね良好である。一連の詳細な検討は今後行うが、とくに日本語については重要であり、「家事(介護)支援を念頭においた事前教育」が焦点化された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、諸外国の実態および日本国の居宅において外国人の家事介護労働のモニタリングを試行的に実施する時期にあてている。香港においては、本研究以前の研究成果を利用してフィリピンとインドネシア以外の諸外国労働者の実態も含め、聞き取り等の調査を行うことができた。 フィリピン人モニターの事前能力評価および事前教育、その方々の招聘と日本居宅の家事を中心としたモニタリング調査の実施によって、居宅家事労働のために、どのような事前教育と評価レベルが必要なのか、その当たりを付ける内容について、具体的な成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
事前教育内容を26年度研究の成果をもとにブラッシュアップし、さらにボリュウムアップする。日本語レベルについては、N4から3を範囲にモニターを募集し、他のレベルとの比較を行っていく。 事前教育の方法については、現地での教育内容とカリキュラム構築についての研究を、「日本居宅においてより稼働性つまり効率的実効的に仕事ができること」を目的にして、具体的に進展させていく。 居宅のサービス利用者が、外国人家事支援の内容をどのように評価するのか、ということを加えることで、双方向のモニタリングを行っていく。とくに日本語能力の重要性が明らかになったことを重視しつつ、日本語検定のレベルを基本としながらも、「居宅における家事支援労働」にフォーカスした事前教育を念頭に、一定特化した教育プログラムを簡便、平易、効率的教育研修を念頭に構築することにチャレンジしていく。これは、送り出し国の現状を直視したうえで、事前教育プログラムを工夫し組み立てることである。つまり、送り出し諸国は概して経済水準は高くなく、たとえば教員の確保、教育内容と施設、受講費用、インターネット環境などは、日本の恵まれた環境のなかから外国人労働者教育に条件付けするのではなく、送り出し国内で最大限に実施可能なプログラムの策定、ということを意味している。 東アジアの家事支援労働者受入れ国を主として、日本居宅におけるフィリピン人モニタリング調査結果と比較をはじめていく。
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Research Products
(1 results)