2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380804
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
黒岩 晴子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90310747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子爆弾被爆者 / 原爆小頭症患者 / 高齢期支援 / 心理的被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に研究データの収集を行った。研究対象者である原爆小頭症患者は身体障害と知的障害等複合的被害を合わせ持っている。本研究の対象者はインタビューに対応出来る軽度知的障害の方々であるが、体力的な課題も抱えているので、一度に多くの情報を得る事が困難であった。そのため、くり返しインタビューを行うことが求められ、通常は1度で済むインタビューが2回、3回と必要になった。研究対象は原爆小頭症患者だあったが、インタビューが困難であったため、急遽対象の変更を行い、家族についてインタビューを実施した事例があった。家族が高齢でインタビューの必要があっても実施出来なかったり、プライバシーからインタビューの受け入れに拒否的な家族が多い中で、家族の協力が得られたことは貴重な機会であった。 次年度の研究計画ではデータ解析を行う予定であり、関連する先行研究について文献研究をすすめた。研究対象者は胎内被爆であるため直接の被爆体験は語ることが出来ないこと、また軽度知的障害があるため、被爆後の生活における困難等を適切に証言できないため、その内面に迫っての研究には困難を伴う。そのため、同じ被爆者で体験を語らずにきた被爆者の内面についての研究も併せて行っている。語らないできた被爆者の内面の理解が、語ることに困難を抱える原爆小頭症患者の心理面の研究に示唆を得ている。 また、研究方法については質的研究を予定しているので、具体的な方法について研究会に参加しながら検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主たる研究計画は研究データの収集であったので、計画上の著しい遅れはない。しかし、インタビュー対象者は予定していた人数より減少した。それは、研究対象者である原爆小頭症患者が身体・知的障害だけでなく、体力的な課題が大きいからであった。病弱でもあり、インタビューの予定がしばしば変更となったことや高齢による認知症の発症等もあった。高齢者福祉施設への入所や医療機関への入院等でインタビューが出来なくなったことによるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、収集した研究データを元に、研究方法を確定しデータの解析を行う。本研究は研究対象が少ないが、原爆による障害に加え、さらに高齢による疾病や障害が加わっているため、対象がが減少する可能性が大きい。研究を早急にすすめることが求められている。現在までに収集した一つ一つの事例を大切に解析をすすめ、研究会や研究誌へ成果を公表する。原爆小頭症患者だけでなく、被爆者全体の高齢期の支援につながるよう、研究の速度を速める。
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Causes of Carryover |
研究対象である原爆小頭症患者の高齢者福祉施設の入所があり、インタビューが実施出来なかった。そのために謝金の支払いが出来なかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究対象者の回復を待って、インタビュー調査を実施する予定である。
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