2016 Fiscal Year Research-status Report
現代版マーケット・バスケット方式による最低生計費の実証的研究
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26380827
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
中澤 秀一 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (70435296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 薫 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (00413170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 若年者の生計費 / 子育て世代の生計費 / 高齢者の生計費 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、まずは新潟県において、30代・40代・50代の核家族(子育て世代)と、高齢世帯の最低生計費の試算結果を分析し、また調査手法の改善を試みた。この成果は、後述する他の地域での調査に反映させている。 つづいて、静岡県と北海道においてアンケートの配布および入力を行い、データに基づいて、まず若年単身者世帯の最低生計費を分析を行った。この際には、同様の調査を実施している他の地域(東北地方、埼玉県、愛知県、広島県)での実績を参考にしている。ここから得られたことは、最低生計費は全国どこでもそれほど変わりがなく、月額に換算すると約23万円前後になること、現在の最低賃金の水準では、フルタイムで働いたとしても試算された最低生計費の水準に達していないこと等である。 この間の研究の成果については、「最低生計費調査から見えてきたもの」『月刊全労連』No.232および「最低生計費調査からみた最賃制度の問題点」『経済』No.253で公表している。さらに高齢世帯の結果については、2016年12月4日開催貧困研究会第9回大会にて、「高齢者の生活実態―最低生計費調査や聞き取り調査から見えること」の演題で口頭発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①子育て世代の分析における課題を明らかにすることができた。 ②これまで最低生計費調査が未実施であった北海道にて、多方面の協力を仰ぎながら、調査を実施するに至り、第1弾として若年単身世帯の調査結果を公表することができた。 ③2010年に調査を実施している静岡県については、より精度の高い調査を実施し、調査結果を公表することができた。 ④上記の地域以外にも、調査を実施しようとする地域と調査のノウハウを共有することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
①子育て世代や高齢世帯、ひとり親世帯など、様々な世帯類型の最低生計費の結果をまとめて、その公表に努める。 ②調査の実施者・回答者・分析者の負担をできるだけ軽減できるような調査の簡略化について、マニュアルをまとめる。 ③費用としての最低生計費をベースにして、これを賄うための社会制度(賃金・社会保障・税)の組み合わせについて、その在り方を考察する。
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Causes of Carryover |
北海道調査において、ひとり親世帯を対象とした聞き取りを実施予定であったが、対象者側の都合により延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北海道におけるひとり親世帯の最低生計費試算のための聞き取りを行う。具体的には、事前に実施した「生活実態調査」および「持ち物財調査」の結果を用いて、生活パターンや保有するものを確定させていく。
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Research Products
(5 results)