2014 Fiscal Year Research-status Report
社会的認知能力の個人差と視線・脳皮質活動との関連性に関する研究
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26380840
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 明雄 千葉大学, 文学部, 教授 (30175062)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心の理論 / 社会的認知 / 視線方向 / 視点取り |
Outline of Annual Research Achievements |
「心の理論」(ToM) 能力の個人差と社会的認知処理遂行時における視線方向の関連性を検討する第一段階として,Agentive/Perspective 視点取り課題を遂行時の課題画面(ディスプレイ)を見る視線方向を Eye Tracker(Tobii X60)で記録し,社会的認知処理の負荷がある課題(Agentive task)遂行時と社会的認知処理の負荷がない課題(Non-Agentive)遂行時の視線方向の変化について,比較を行った。実験では,予備実験として実験参加者数は男女各10名で実施し,初めにEmpathy Quotient と Systemizing Quotient によって個人の認知スタイルを測定し,実験参加者の認知傾向を確認した。その結果,性と認知スタイルに交互作用があり,女性では Empathizer,男性では Systemizer が多いことが確認された。各課題成績では,Agentive 課題で女性の,Non-Agentive 課題で男性の成績がわずかに高い傾向が見られた。視線方向については,個人の認知傾向(認知スタイルや得点)や性別には明確な差は認められなかったが,課題間ではわずかながら一定の傾向が認められ,女性では Non-Agentive 課題遂行時において,刺激への注視の移動が大きく, 男性では,Agentive 課題遂行時に刺激への注視の移動が大きい傾向があった。これらの結果は,社会的認知処理負荷の有無と,性の要因が,視線方向に関係することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の平成26年度分の実施計画については,おおむね遂行が完了しており,順調に進展していると見なすことができる.なお「心の理論(ToM)」能力を測定するために使用している Eye Test, 動画課題,音声課題については,すでに一定の妥当性が確認されており,それらについては国際英文誌に報告済みであるが,さらに改善の余地があると思われるため,本研究の遂行に合わせて改訂作業を行ってもよいかもしれない.また,視線の動きの記録に関して,刺激提示がディスプレイ(17inch)上であるため,動きが限定されていることが確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
「心の理論(ToM)」能力を測定するために使用している Eye Test, 動画課題,音声課題については,すでに一定の妥当性が確認されており,それらについては国際英文誌に報告済みであるが,さらに改善の余地があると思われるため,本研究の遂行に合わせて改訂作業を行ってもよいかもしれない. また,視線の動きの記録に関して,刺激提示がディスプレイ(17inch)上であるため,動きが限定されていることが確認された.本研究の主要目的である視線方向の個人差を検出するためには,課題の提示画面を拡大する必要があるかもしれない。この点については,次年度の検討事項として,平成27年度早期に実験的に検討する予定である.
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