2015 Fiscal Year Research-status Report
セルフスティグマ低減に対する日常臨床場面における認知行動療法の有用性の検討
Project/Area Number |
26380971
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
下津 咲絵 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (90392448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セルフスティグマ / うつ病 / 精神疾患 / 認知療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的> 本研究では、日常臨床場面で用いることができる簡便なセルフスティグマ低減手法の開発の基礎となる情報を収集することをめざし、うつ病患者に対して面接法を用いてスティグマ認知の質と程度をききとる。また同時に、知覚されたスティグマに対してどのように対処するかといった適切な対処法について面接内で個別に話し合うことが、面接参加者のセルフスティグマに変容を与えるかどうかについてを検討することを目的とする。 <方法> (1)対象:首都圏の精神科クリニックに通院中のうつ病(DSM-5)、大うつ病性障害(DSM-4)患者7例、(2)方法:臨床心理士による半構造化面接、(3)面接内容:疾患に関わるスティグマ認知と対処法のききとり、(4)調査尺度:自記式質問紙(面接の前後):①抑うつ(BDI-Ⅱ)21項目、②セルフスティグマ(DDS)12項目、③自尊感情(RSES)10項目、④抑うつセルフスティグマ尺度(DSSS)32項目、⑤非機能的態度尺度(DAS)24項目 <結果> 質問紙を用いた各変数の面接前後の変化については、t検定の結果有意な差は示されなかった。本研究の目的である、知覚されたスティグマへの対処法、セルフスティグマの変容に関して焦点をあて、現在GTA(Grounded Theory Approach)分析の手法を用いて面接内容をまとめている段階である。特に、対象者は全て休職中あるいは休職経験をもっていたことから、勤務先におけるスティグマ、休職をとることに関わるセルフスティグマについて1つのテーマとして分析することを新たな方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知行動療法(CBT)プログラムによるセルフスティグマ低減の効果については、対象者を増やし今後成果について発表を継続していくことができる段階に進んでいる。一方で、基盤となるそのCBTプログラムにセルフスティグマに焦点を当てたブースターセッションを追加することによるセルフスティグマ変容の効果を検討することも本研究の課題の一つであるが、その課題については当初予定より遅れている。 セルフスティグマに焦点を当てた効果的介入法を検討するために、本年度はうつ病の患者様に対する半構造化面接を実施し、質的に面接内容を分析し、その成果をセルフスティグマ変容に焦点を当てたブースターセッションに反映する予定であった。しかし、面接内容が十分にききとるためには長時間になってしまうなど協力者の負担が大きくなるため、協力してくださる患者様のリクルートに時間がかかり、また事例数も多くを得ることが困難であった。そのような事情から、当初の予定よりも遅れた研究展開となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度得られたデータの分析をすすめ、その結果をセルフスティグマに焦点を当てた追加セッションを作成に反映させる。来年度は、追加セッションのセルフスティグマ低減への効果についてパイロットスタディを実施することが課題である。加えて、基盤となる認知行動療法プログラムの追加データをまとめ、新たに作成するセルフスティグマに焦点を当てた追加セッションを加えたプログラムとの比較対象とする。上記について、今後、国内学術誌、国際学会等において成果を発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
概ね計画に従って助成金を使用できている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であるため、消耗品等次年度使用額に追加して使用する。
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Research Products
(3 results)