2017 Fiscal Year Research-status Report
セルフスティグマ低減に対する日常臨床場面における認知行動療法の有用性の検討
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26380971
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
下津 咲絵 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (90392448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セルフスティグマ / 認知行動療法 / うつ病 / 認知再構成法 / 認知的スキーマ / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的>本研究では,非機能的スキーマの改善を目的とした認知再構成法を実施し,抑うつ患者の非機能的スキーマの改善によるセルフスティグマ減少効果をShimotsu & Horikawa (2016)で提唱された仮説モデルに基づき検証する。 <方法>対象者:集団認知行動療法プログラムに参加した78名のうち,日本語版Beck Depression Inventory-Ⅱ(小嶋・古川, 2003)の介入前の得点において中等症以上とみなされる20点以上の者50名(男性31名,女性19名)を分析対象とした。調査材料:プログラム開始前と終了後に以下の尺度を用いてアセスメントを実施した。(1) Devaluation-Discrimination Scale日本語版(蓮井ら, 1999),(2) 日本語版24項目Dysfunctional Attitude Scale(Tajima et al, 2007),(3)日本語版Beck Depression Inventory-Ⅱ(小嶋・古川, 2003),(4) 自尊感情尺度邦訳版(山本ら, 1982) <結果>モデルの適合性について,介入前後の変化量のデータを用いて検討した。結果,充分な適合度指標の値が示された。セルフスティグマの減少に対して,非機能的スキーマのうち特に達成動機スキーマの改善が有効であることが確認された。一方で,Shimotsu & Horikawa (2016)とは一部異なり,非機能的スキーマの改善と抑うつ症状の改善の媒介要因としての,セルフスティグマ減少の影響力はみとめられなかった。また,自尊感情の回復に対しては,抑うつ症状の改善よりもセルフスティグマの減少がより影響力をもつことが確認された。 <考察>認知再構成法がセルフスティグマの介入において有効であることが示され,加えて自尊感情回復の重要な手法の一つとなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者はH27年度に所属の異動をおこなった。そのため,研究協力施設等について再検討を行うなどの状況が生じ,当初の予定よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のテーマであるセルフスティグマ低減に対する日常臨床場面における認知行動療法の有用性についてこれまでに一定の提言ができた。本年度は,一般的な認知再構成法に加えて,セルフスティグマに特化した認知に焦点を当てる介入を加えることによる効果について検討する予定である。充分な対象者数を集めることができるか,リクルート方法について課題が残っている。
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Causes of Carryover |
(理由)人件費・謝金を要する取り組みを本年度実施しなかったため。 (使用計画)来年度はこれまでの余剰分についても執行していく予定である。特に,本年度使用がなかった人件費・謝金をプログラム実施者および対象者に対して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)