2015 Fiscal Year Research-status Report
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26381111
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Research Institution | Tokyo Rissho Junior College |
Principal Investigator |
池田 幸代 東京立正短期大学, その他部局等, 准教授 (50591533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育学 / 幼児教育・保育 / 精神的健康 / 保育者ストレス / ストレス・コーピング / 心理的援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保育者の精神的健康を維持するために有効な心理的援助プログラムを開発することを目的としている。本年度(平成27年度)は、研究実施計画に沿って、保育者特有の職業ストレス・コーピング尺度を作成するために、初年次(平成26年)に行ったものと同じ60項目からなる質問紙調査を行った。郵送法により配布・回収は、平成27年9月~11月にかけて実施した。二度目の質問紙調査を行った理由として、対象者を増やして尺度の信頼性・妥当性を高めるためと、一度目の質問紙に対する調査協力者の人数が954名(初年次の実施状況報告書提出後に、更に172名の回答を得た)中、幼稚園教諭163名・保育士791名と保育士の割合が大きかったため、調査結果に偏りが出るのを防ぐためである。調査協力は、東京近郊の幼稚園・保育所・認定こども園合計76園に依頼し、626名の保育者(うち、幼稚園教諭186名・保育士439名)の回答を得られた。 当初の計画では、調査対象とする保育者数は最低300名としており、幼稚園教諭の合計だけで349名、保育士と合せて1580名となり、両者に共通した“保育者”としての尺度作成において信頼性は上がったと考えられる。回答を数値化し、因子分析を行った結果、初年次の結果同様、積極的解決、気分転換行動、放置・回避行動、学習促進行動(すべて仮称)の4因子が抽出され、妥当性も高まったと考えられる。現在は、保育者用ストレス・コーピング尺度作成に関して論文作成中である。 また、質問紙調査の分析と並行して、月に一回程度のペースで、保育園園長1名・幼稚園園長1名・保育所保育士2名・幼稚園教諭1名に対し、ストレス・コーピング尺度の結果と認知行動療法を援用した面談を行い、面談前後の精神的健康度をGHQ-12により測定し、一定の成果を得た。現在、心理的介入援助プログラムの試作を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に関しては、研究実施計画に沿った研究活動をし、研究目的に沿った調査・分析を行い、研究成果をあげることができた。初年次の遅れを取り戻し、質問紙の再配布・回収、分析も行い、保育者用ストレス・コーピング尺度を作成した。 また、保育者5人を対象とした面談も並行して行い、それぞれ面談介入による精神的健康度の上昇を確認したが、面談時間が予定より長引くことが多く、逐語録が想定以上に増えたため、内容の分析は終えていない。 以上、特に面談について計画より多くの時間を有したための遅れは見られたものの、信頼性・妥当性の高い保育者用ストレス・コーピング尺度の作成を可能にした点を考慮し、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」と自己点検、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」にも示したように、初年次の遅れを取り戻し、保育者用ストレス・コーピング尺度の作成が可能になったので、論文として発表する。また、面談の逐語録の分析を行い、心理的介入プログラムの試作から本格的な実施を行い、完成させることとする。
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Causes of Carryover |
本年度は、所属機関の異動に伴う研究室の移動があり、データ分析のための性能を持つPCなどの物品購入をはじめとする研究環境の整備が必要となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に関しては、保育者用ストレス・コーピング尺度について論文を完成させ、投稿および発表の場を確保するための学会費、英文校正料金等を必要とする。また、ストレス・コーピングと精神的健康の関連を探るための分析も行うため、データ入力・整理の補助員を雇う事を予定している。同時に、心理的援助プログラムを試作し完成させるために、本年度の面談で得た逐語録のテキストデータ入力・整理の補助員を定期的に雇うことを予定している。また、引き続き保育者との定期的面談調査を行うため、その際に調査協力への謝礼金、交通費等の諸経費が必要となる。調査・研究に必要な統計学・心理学・カウンセリングに関する書籍購入も必要である。 これらの研究計画に必要な費用として、当初の使用額計画を、本年度の進捗状況および使用実績を鑑みて若干変更し、物品費20万円、旅費10万円、人件費60万円、その他10万円とする。
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