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2014 Fiscal Year Research-status Report

ニューカマー青少年の学び直しを支える教育環境設計に関する研究

Research Project

Project/Area Number 26381131
Research InstitutionTottori University

Principal Investigator

児島 明  鳥取大学, 地域学部, 准教授 (90366956)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsニューカマー / 青年 / 学び直し / ブラジル / 通信教育
Outline of Annual Research Achievements

日本で生活するブラジル人青年の学び直しのありように注目し、調査を実施した。具体的には、早期に学校を離脱して労働の世界に参入した在日ブラジル人青年が学び直しに向かうプロセスを解明するため、東海地域のあるブラジル人学校が開設する通信教育コース(ブラジルの中卒・高卒資格の取得が可能)を受講する14名の青年に対してライフストーリー・インタビューを行った。対象者の年齢は18歳から32歳で、通信教育コースを受講する前の最終学歴をみると、中学校未修了3名、中卒4名、高校未修了6名、高卒1名となっている。過半数は通信教育受講にいたるまでにブラジルの学校、日本の学校、ブラジル人学校の間で一回もしくは複数回の移動を経験しており、また、全員が離学後、通信教育を開始するまでの間に就労経験を有していた。インタビューに際しては、離学にいたる経緯と学び直しにいたる経緯という二段階に分けたうえで、後者については、離学後の生活状況、学び直しへの動機付け、学び直しの現状、将来展望の四点を含むかたちでの整理を行った。
離学を生じさせる理由としては「就労の選択」「学校生活や学校環境」「予期せぬ出来事」の三つの要因が浮上した。他方、学び直しにいたる経緯としては「工場労働への不満」「学びへの触発」「学業の継続」「帰国後の基礎づくり」という四つの契機を抽出することができた。早期に学校を離脱した在日ブラジル人青年が学び直しに向かう契機は、離学の経緯や離学後の生活状況のさまざまなありようを反映して多様である。ただし、いくつかの事例から共通して浮かびあがるのは、学び直しのプロセスを理解することは、かれらが自らの過去や現在をどのように語り直し、自らの将来にいかに位置付けようとしているかを理解することと相即不離の関係にあるということであった。その意味では、キャリア形成における語り直しの意義について考察を迫るものであったといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までの達成度について、以下、国内調査と国外調査の二つの点から検討する。
まず国内調査についてであるが、学齢期を過ぎた在日ブラジル人青年が働きながら学び、学歴を取得できる機会を提供する場としての通信教育に注目し、そこで学ぶ受講生にインタビューを実施したことで、学び直しの意味と可能性を当事者の視点に立って考えることができたことの意義は大きい。ただし、いくつかの点で今後に課題を残していると考える。第一に、今回、分析にかけることができたインタビュー対象者数は14名と限られている。そのうえ、男性10名、女性4名とジェンダーの観点からも偏りがみられる。今後、ジェンダー・バランスを考慮しながら分析対象者数を増やしていく必要があるだろう。第二に、通信教育は短期間での学歴取得が可能なシステムであるため、調査期間中に中卒ないし高卒資格を取得してコースを終えた者も少なくない。しかし、そのような受講者のその後の進路について十分に把握できているとは言えない。通信教育による学び直しがその後のキャリア形成に実際にどのように寄与しうるかは、本研究にとってきわめて重要な課題であるため、受講生の追跡的な調査が必要であろう。
次に国外調査についてであるが、平成26年度は、日本での学び直しが帰国後のキャリア形成においてどのような役割を果たしうるのか、そのトランスナショナルな機能を理解するための予備的な調査として、サンパウロ市にて通信教育受講経験者へのインタビュー調査を実施した。日本での通信教育が帰国後のキャリア形成に確実に結びついていることを確認できたことは大きな収穫であったが、インタビューできたのは2名とまだ少ない。今後、さらに対象者を増やしていきながら、学び直しの効用をより多角的に検討する必要があるだろう。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の進め方については、国内調査と国外調査それぞれの観点から、以下のように考えている。
まず国内調査については、第一に、通信教育を受講するブラジル人青年へのライフストーリー・インタビューを継続する。その際、ジェンダー・バランスを考慮して対象を選考するように心がける。第二に、通信教育を終えた受講者のその後のキャリア形成について、追跡調査を行う。第三に、通信教育以外の学び直しの可能性(例えば、英会話学校やエステティシャン養成学校など)も考慮に入れながら、学び直しの意義と可能性をより多角的な視点に立って検討していく。
次に国外調査については、サンパウロ州を中心として、通信教育その他による学び直し経験者に帰国後のキャリア形成に関するインタビューを実施する。適切な対象者を探すのは決して容易なことではないが、通信教育コースの運営に携わるブラジル人スタッフや前回の調査で知り合った現地の教育関係者の助けを得ながら、進めていく予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 在日ブラジル人青年の学び直しー通信教育受講生の生活史分析からー2014

    • Author(s)
      児島 明
    • Journal Title

      地域学論集(鳥取大学地域学部紀要)

      Volume: 第11巻、第2号 Pages: 57-88

    • Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 在日ブラジル人青年の学び直しー通信教育受講生の生活史分析からー2014

    • Author(s)
      児島 明
    • Organizer
      日本教育社会学会
    • Place of Presentation
      松山大学
    • Year and Date
      2014-09-13

URL: 

Published: 2016-05-27  

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