2014 Fiscal Year Research-status Report
現代社会における「歴史の文化」の探究力を育成する中等歴史教育の開発研究
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26381189
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
服部 一秀 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60238029)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歴史文化 / 歴史教育 / 歴史授業 / 中等教育 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現代社会における「歴史の文化」の探究力を育成する中等歴史教育の在り方を理論的・実践的に究明することを目的とするものであり、その前半部ではドイツにおける先進的事例の分析検討を行う。初年度にあたる平成26年度においては、同国の中等歴史教育における「歴史の文化」の取り扱いの基本動向を把握することを課題とした。 そのためにドイツ全州の前期・後期中等教育段階における歴史教育関係の学習指導要領を調べ、また、ゲオルク・エッカート国際教科書研究所図書室において全州の歴史教科書を調べ、「歴史の文化」の取り扱いについて確かめ、類型化を行った。「歴史の文化」の取り扱いをめぐる同国の歴史教育学界における議論については、文献と現地での聞き取りによって調査し検討した。これらの成果の一部を日本社会科教育学会の第64回全国研究大会(2014年11月29日、於静岡大学)において発表した(「ドイツ諸州の中等歴史教育における「歴史文化」の取り扱い」)。 また、最新の改革事例として、ベルリン市・ブランデンブルク州においてパブリックコメント手続きのために2014年11月に公表された第5・6学年の社会科学と第7~10学年の歴史の学習指導要領案を分析し、歴史教育改革の構想と「歴史の文化」探究力の育成の考えについて検討した。これらの成果の一部を社会系教科教育学会の第26回研究発表大会(2015年2月21日、於兵庫教育大学)において発表した(「ベルリン市・ブランデンブルク州における歴史教育改革の構想」)。 これらを通して平成26年度においては、ドイツの中等歴史教育における「歴史の文化」探究力育成の現状を大観し、その傾向を掴むことにより、次年度以降における各類型の具体的事例の分析検討に備えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、全州の学習指導要領と教科書また歴史教育学界における議論をもとに、ドイツの中等歴史教育における「歴史の文化」の取り扱いに関する現状を大観し、その傾向を掴み、それらの成果の一部を社会科教育関連学会の研究大会において発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27・28年度においては、各類型の代表的な事例を選定して取りあげ、分析比較し、中等歴史教育における「歴史の文化」の探究力育成の論理とそれらの特質・意義や課題について整理検討する予定である。 平成29・30年度には日本の中等歴史教育において「歴史の文化」について取り扱うプランの開発をすすめる予定であるが、平成28年度までに事例分析研究が終了しない場合は、平成29年度のはじめまで持ち越し、その上でプランの開発作業に着手することとする。
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Causes of Carryover |
研究計画に基づいて今年度の研究を遂行することができたが、購入を予定していた図書(洋書)の発行が次年度となったこともあって次年度使用額5606円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額5606円を予定していた図書(洋書)の購入にあてることとし、次年度の研究を計画に基づいて遂行したい。
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Research Products
(5 results)