2016 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ進歩主義期における特別な教育的配慮の理論と実践に関する史的研究
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26381302
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
千賀 愛 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10396335)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジョン・デューイ / カリキュラム / シカゴ大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、8月にシカゴで開催された国際教育史学会"The 38th annual conference of the International Standing Conference for the History of Education "(ISCHE)において、Physical education and curriculum development of early days in Dewey's Laboratory School のタイトルで口頭発表を行った。 ドイツやアメリカが長年にわたりデューイ実験学校を研究する先生と意見交流をする貴重な機会となった。 平成29年2月には、北海道教育大学紀要(教育科学編)に論文「デューイ実験学校のグループIVとVにおける「住まい」に関する教育実践:小学校のカリキュラム開発のための予備的検討」が掲載された。本論文は、住居教育のカリキュラム開発を行うための予備的検討として、デューイ実験学校の低学年に相当するグループの「住まい」に関する教育実践の検討を行った。現行の学習指導要領では、小学校5-6年生の家庭科で扱われる「住まい」の内容であるが、次期学習指導要領の改訂に向けて、低学年においても教科横断的な「住まい」の教育実践を開発することが重要である。本論文では、シカゴ大学附属校であったデューイ実験学校(1896-1904)の「住まい」のカリキュラムを明らかにするため、1899-1901年度のグループIV(主に7歳)とグループV(主に8歳)が2年間を通じてどのような学習活動に取り組んだのかを実践報告(Work Report)を通して検討した。 また平成28年度内にシカゴ大学等で行った資料収集によって、実験学校や進歩主義教育の諸学校に関する情報を得る事ができたため、現在は資料分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はデューイ実験学校以外の進歩主義学校についても扱う予定であったが、デューイ実験学校の体育と住まいの実践に関する観点から実践記録を見直したところ、今までにないカリキュラムや授業展開が明らかになり、改めて論文・学会発表という形で発表することになった。しかし19世紀末から20世紀初頭の他の進歩的な取組みを行った学校については、資料を徐々に収集しており、関連する文献も読み進めており、次年度につながると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる29年度は、デューイ実験学校の体育で特別な教育的配慮を必要とする子どもに対しても取り組まれていた実践の中身を検討し、28年度の国際学会の発表内容を深化させて英語論文を執筆し、国際学会へのジャーナル投稿に取り組みたい。その過程で、健康問題や障害をもつ子どもを含めた体育実践や遊びを取り入れた柔軟な活動展開が、当時の体育研究や障害児教育の状況を比較して、実験学校でどのように具体化されていたのかを明らかにしたい。また「住まい」の実践では、実験学校の子どもが定期的に訪れていたフィールド博物館の展示をどのように活用していたのか、歴史という抽象的な内容を低学年の子どもに分かりやすく「住まい」の学習として展開していたのかを、専門の日本デューイ学会で発表し、論文投稿したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度8月にシカゴのLoyola大学で発表した英語の発表資料の英文校閲の支出が想定していたよりも少額であったため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、昨年度の国際教育史学会で発表した内容をもとに、投稿論文を執筆し、国際的な学会誌Adapted Physical Activity Quarterlyに英文で投稿する計画のため、昨年度の使用残額を支出する見込みである。
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Research Products
(3 results)