2014 Fiscal Year Research-status Report
高機能自閉症スペクトラム児における心の理解とメタ認知の連関と社会性障害の支援
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26381315
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
別府 哲 岐阜大学, 教育学部, 教授 (20209208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義信 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (00036675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高機能自閉症 / メタ表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
刺激として、多義図形(「アヒル」と「ウサギ」のいずれかに見える/「壺」と「人間の顔」のいずれかに見える)を用い、二通りのやり方で提示した。一つは、多義図形を提示し「これ何に見える?」と質問して答えさせた(例えば、「アヒル」)後、多義図形を回答したもの(アヒル)にモーフィングする。続けてそれを「今度は違うものに見えるよ」と教示し多義図形に戻した後、「何に見える?」と尋ねる【1枚提示】。二つは、一つのスクリーンに二つの多義図形カードを提示し、一つずつモーフィングであるもの(一方は「アヒル」、他方は「ウサギ」)に変形する。そして「これは何?」と確認をする。その後、2枚のカードを裏返し、一方を見せ「これは何に見える?」、続けてもう一方を見せ「これは何に見える?」と尋ねる【2枚提示】。 A通園事業に通う年長児23名に対し上記の課題を試行した。そして、多義図形の2つの見え方を報告し,かつ報告した対象の部分(構成要素;耳など)を正しく示すことができた場合を「反転反応」、それ以外を「同一反応」と分類した。その結果,提示条件ごとの課題反応別人数分布は等しかった(被験者内要因)。どの条件でも,子どもは「同一反応」を示す傾向がみられた。実験計画の違いから単純に比較はできないが,定型発達の5歳児の課題反応(被験者間要因)とは異なる反応を示していると思われる。また,課題を行っている時に,最初に報告した見えが,動画(モーフィング)をみた後で変わってしまうという子どもが何人かいた。このような子どもの課題に取り組む過程を検討することで,条件の違いにもかかわらず同一反応を示す子どもが多かった点について,示唆が得られるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、「図形の見え方の一対一対応課題」(加藤,2013)を、自閉症スペクトラム児に実験可能な形に改変したものを作成すること、それを知的に遅れのない自閉症スペクトラム児(就学前の5~6歳児)に試行することであった。前者は、研究分担者(加藤義信氏)と研究協力者(工藤英美氏)とともに、試行錯誤を重ねながら、手続きを含め改変したヴァージョンを確定することができた。そしてそれを元に、就学前児に実際に実験を試行した。PARS、新版K式発達検査も試行済みであるので、それに基づき、その被験者を知的に遅れの無い自閉症スペクトラム児と非自閉症スペクトラム児に分類し、結果の分析をさらにすすめることができる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
①今年度確定した「図形の見え方の一対一対応課題」(自閉症スペクトラム児ヴァージョン)を用い、知的に遅れの無い自閉症スペクトラム児(5~6歳)を対象にした実験を進める。 ②それに加え、今後は「心の理論」課題(アニメーション版)を用い、この測定と上記の課題の対応も検討する。 ③自閉症スペクトラム児における社会性のエピソード収集を開始し、上記①、②との対応を検討するためのデータを集める。
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Causes of Carryover |
実験刺激の改変にあたる謝金、実験実施とそのデータ分析の謝金が予定より少なく済んだことが最大の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、社会性障害エピソードの収集、分析も含めた形で、そのための人件費を多く使用すること、関連する文献の収集をさらに広げて行うことを予定している。
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Research Products
(3 results)