2016 Fiscal Year Annual Research Report
Charge-state measurement of atoms in barium oxide clusters - aiming to understand and improve NOx storage mechanism
Project/Area Number |
26390005
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Research Institution | Genesis Research Institute, Inc. |
Principal Investigator |
早川 鉄一郎 株式会社コンポン研究所, 研究部, 研究員 (90557745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化バリウム / クラスター / X線吸収分光 / 安定組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き酸化バリウムクラスター生成法の改良を行い、バリウム原子数が8個以下のクラスターが安定して生成される条件を見出した。生成したクラスターの安定組成について調べるとともに、装置を放射光施設に持ち込んでバリウムM吸収端および酸素K吸収端領域でのX線吸収分光測定を行いスペクトルを得ることに成功した。 生成した酸化バリウムクラスターはBa:O=1:1の組成比のものが最安定組成であり、この組成から酸素原子数が±1変化したクラスターも安定であることが分かった。Ba:O=1:1はバルクの組成比である。すなわちクラスター化したとき酸化バリウムはバルクと同じ組成で安定となるとともに、バルクでは見られない組成変化を許容するという結果が得られた。 組成の異なるクラスターBa2O2+とBa2O3+に対して、バリウム、酸素それぞれの電子状態を調べるためにX線吸収分光を行った。測定は放射光施設Photon FactoryのBL-7Aを用いた。その結果、組成によってバリウム原子の荷電状態は変化せず、酸素原子の結合状態が変化することが分かった。 これらの結果は、幾何構造の自由度が大きいクラスターでは酸素原子がバルクと異なる結合状態を取ることが可能になり、そのことがバリウムの荷電状態が変化しないにもかかわらずバルクと異なる組成のクラスターを安定に存在させていると解釈できる。すなわちクラスター化により酸化バリウム中の酸素原子の状態を変化させることが可能であり、酸化バリウムへのNOx吸着性の改善のためにはクラスター化することが有望であると考えられる。
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