2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26390068
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
吉田 直哉 工学院大学, 工学部, 准教授 (40345145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 濡れ性 / 固体表面 / 表面粗さ / 表面エネルギー / 動的濡れ性 |
Outline of Annual Research Achievements |
動的濡れ性を制御することを目的とし,シリコンウェハー上に平滑な撥水性の自己組織化単分子膜を作製し,この表面に対してUV-オゾン処理を用いて酸化分解を行い,表面張力が異なる溶媒を用いて静的・動的な濡れ性の解析を行った.AFM観察した結果,作製したサンプルの算術表面粗さは0.6 nmであり,撥水処理前のシリコンウェハー(0.3 nm)と比較し、撥水処理による表面の粗さに大きな変化はみられなかった.UV-オゾン処理によって接触角の値はすべての溶媒で緩やかに低下した.一方で表面粗さの変化が小さいことから転落角の値に大きな変化はみられなかったが,イオン交換水の転落加速度は低下した.ジヨードメタンでは、転落加速度が不連続に変化した. 次に、ミクロンオーダーの規則的な凹凸構造表面を作製し、濡れ性と表面構造の関係を定量的に調査することで表面粗さや不均一性が静的・動的濡れ性に及ぼす影響を精査した。 ポリスチレンビーズの懸濁液を用いてガラス基板及びシリコン基板上に均一な二次元コロイド粒子膜を作製し,それを鋳型にSiO2二次元逆オパール構造を作製した.得られた試料に対して恒温恒湿処理(温度40°C、湿度90%の条件下で恒温恒湿器内に15日間保管)、シランカップリング剤処理(オクタデシルトリメトキシシラン)の2種類の撥水処理を行った。作製した逆オパール構造表面は,前駆体溶液中のTEOSの濃度を変更することで、均質性・周期性を保ったまま膜厚と構造を制御することが出来た。撥水処理を行った2種類のサンプルについて水接触角測定を行った結果,実際の構造表面は、空気の噛みこみと水の染みこみが混在した濡れ状態であることが示唆された。水が中途半端に噛みこんだ場合を仮定して実際の表面の濡れ状態を解析し、実測の水滴転落角と比較したところ,空気の噛み込み比率が0.5程度の値で最も転落性が悪くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は,(1)微少な表面粗さ・不均一性を導入した自己組織化単分子膜の作製,(2)ポリスチレンビーズ・コロイダルシリカ等を利用して系統的に表面粗さを変えた2次元の規則的・不規則的凹凸構造を付与した無機酸化物薄膜の作製,(3)作製した表面構造を損ねない、段階的な撥水化処理,の3項目であった.(1)の微少な表面粗さを有する表面の作製の進捗が若干良くないが,その他は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の計画は,(4)作製した表面の静的・動的濡れ性と、凹凸のサイズ及び形状との相関を明らかにする,(5)動的濡れ性の原理解明(制御指針の確立)であり,平成26年度に確立したサンプル作製方法を用いて,これらを進める. 平成28年度は,これらを応用的に進めて,濡れ性記憶表面化の検討を行う.
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Research Products
(3 results)