2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26390068
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
吉田 直哉 工学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40345145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 濡れ性 / 固体表面 / 表面粗さ / 表面エネルギー / 動的濡れ性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,引き続き(1)微少な表面粗さ・不均一性を導入した自己組織化単分子膜の作製,(2)ポリスチレンビーズ・コロイダルシリカ等を利用して系統的に表面粗さを変えた2次元の規則的・不規則的凹凸構造を付与した無機酸化物薄膜の作製,を行い,さらに(3)作製した表面の静的・動的濡れ性と、凹凸のサイズ及び形状との相関を明らかにする,(4)動的濡れ性の原理解明(制御指針の確立)を目指して研究を行った. (1)オクタデシル基(ODS)からなる自己組織化単分子膜表面の作製とUVオゾン処理による部分的な酸化分解を行い,予定通りのサンプルを得た.ODSとアミノプロピル基を有する複合単分子膜の作製も検討し,浸漬溶液濃度等の条件検討ではアミノ基含有量を任意に変えることが出来なかったが,表面粗さの異なるサンプルを作り分けることができた.段階的な撥水処理にも問題はなかった。 (2)平成26年度に行った,直径1 μmの粒径のPSを用いたサンプル作製に加え,直径0.5 μmの粒径のPSを用いて同等のサンプル作製を行い,均一な面積がやや小さいものの,濡れ性の評価が可能なサンプルを得た. (3)作製したサンプルの水接触角・転落角,転落挙動等の基礎的なデータ収集を行った.さらに,一部のサンプルについては,ジヨードメタン,グリセリン等の有機溶媒およびそれらの混合溶液に対する濡れ性のデータも取得できた.測定面積が,AFM等の顕微鏡観察のエリアに比較して大きいため,特に転落挙動についてはさらなる精査が必要である. (4)当初の予想通り,動的濡れ性に関しては,表面粗さの小さい側と大きい側で液滴付着性が弱くなることを裏付けるデータが得られており,中程度の粗さの場合に付着性が強くなる傾向が見られた.組成の不均一性の効果は,表面粗さと比較して弱い結果が得られているが,表面粗さが大きくなるに従い増幅されていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画は,主として(3)作製した表面の静的・動的濡れ性と、凹凸のサイズ及び形状との相関を明らかにする,(4)動的濡れ性の原理解明(制御指針の確立)であった.積み残しの課題であった微少な表面粗さを有する表面の作製は概ねクリアすることができた. 当初の予想通り,動的濡れ性に関しては,表面粗さの小さい側と大きい側で液滴付着性が弱くなることを裏付けるデータが得られており,中程度の粗さの場合に顕著に付着性が強くなる傾向が見られた.組成の不均一性の効果は,表面粗さと比較して弱い結果が得られているが,表面粗さが大きくなるに従い増幅されていることが示唆されており、現状では非線形な関係に見えるため、表面エネルギー及び粘性の異なる溶媒を用いて、予定よりも多種類の溶媒を用いた検討を別途始めている。動的濡れ性の原理解明は遠大な目標ではあるが、以上のように予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,これまでに得られた結果の再現性の確認と,作製したサンプル群に対して,特に有機溶媒および混合溶液の濡れ性を精査し,動的濡れ性に対する表面粗さの効果と組成の不均一性の効果を明らかにして動的濡れ性の原理解明(制御指針の確立)を目指す.さらにこれらを応用的に進めて,濡れ性記憶表面化の検討を行う.
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Research Products
(4 results)