2014 Fiscal Year Research-status Report
高精度位相計測を利用した非接触・非染色顕微断層解析の新手法開発
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26390079
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
渡邉 恵理子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20424765)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光干渉計測 / ホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、厚みのある細胞(重層細胞シート等)を非接触・非侵襲・非染色で計測可能な顕微断層解析の新手法を開発することを目的とする。これまで構築してきたフィードバック型高精度位相計測システム(波長633nm)に、異なる波長の誘起(プローブ)光を同軸で導入することで細胞内部を刺激し、その応答を測定することで細胞内部の新たな情報を計測する手法である。計測したデータを細胞の異常・正常の検査へ適用可能か、またその際にどのような処理が最適化に関しても検討する。本技術が実現できれば、非接触・非侵襲・非染色で細胞の構造や健全性の評価を行なえる可能性があり、医療応用分野などへの貢献が期待できると考える。 本年度は、顕微断層解析システムへ向けて、高精度顕微位相計測システムを基盤とした光学系の基礎設計および光学システムの一部を試作・改良した。はじめに高精度顕微位相計測システムにおけるマッハツェンダー干渉系に、異なる波長のプローブ光を同軸で導入するための全体光学系を設計した。次に新たに加えるプローブ光の焦点部を可変に数μm~数100μm走査するために、細胞に垂直な方向となるz軸方向のスキャンデバイスを導入した。またz軸を合わせて3軸方向のxyzスキャンに対する自動制御ソフトウエアを開発した。さらに、本提案技術においては、細胞内部による極めて微小な刺激応答信号と様々なノイズを分離するために、計測システム全体の安定化・高精度化が重要である。長時間同点計測や複数枚による大面積計測により、位相計測システムに関する特性評価し、光学系や電子回路の改善を行いシステム全体の精度を向上させた。以上、本年度は提案システムにおける顕微断面解析の基盤技術を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, ・位相計測システムへの誘起光の導入方法の検討 ・顕微断層解析システムの基礎構築 を計画していた。計画していた事項はおおむね進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には当初計画としていた下記の項目を実施していく。 1.単層細胞シートへの適用,パラメータの設定、1.1 原理確認実験とパラメータの最適化、1.2 再生医療用細胞シートを対象とした誘起光条件の最適化、1.3 前処理・後処理ソフトウエアの自動化 この中で下記のような課題が出てくる可能性があるため随時可決していく 課題1:光放射圧による力の効果か、熱による屈折率変化の効果かなど測定量の決定、具体的な工夫:校正サンプルを試作し、校正することで規格化を行う。課題2:光学系のノイズ、さらには電気ノイズなどにより信号が得られない。具体的な工夫:干渉系におけるノイズ除去の技術や高精度長さ計測の技術を取り入れる。課題3:過度な光エネルギーを与えることにより細胞がダメージを受ける具体的な工夫:分光特性評価により誘起波長を最適化させる、対物レンズ部分の光学系の工夫を行っていく。またヘテロダイン干渉系を導入するなどしてシステムのSN比を向上させる。
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Causes of Carryover |
2014年度購入予定であったソフトウエアを一部自作したため物品費を削減することが可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した助成金は2015年度において、システム安定化のための光学部品購入に利用する予定である。
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