2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波励起マイクロプラズマ散逸ソリトンの高密度化とその応用
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26390094
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
向川 政治 岩手大学, 工学部, 准教授 (60333754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロプラズマ / 自己組織化 / 散逸ソリトン / プラズマフォトニック結晶 / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロギャップ放電をマイクロ波によって励起し、これを用いて空間対称性を有し局在性の高い自己組織構造である散逸ソリトンを生成し、この持続時間を長くすることやプラズマ密度を高めることを目的としている。また、この自己組織構造をプラズマフォトニック結晶とみなし、プラズマ屈折率の周期構造をマイクロプラズマの自己組織化で実現し、電磁波制御の効果を検証する。 平成26年度の研究では、並列化マイクロギャップ放電の並列数の増加および高周波数駆動、放電の六角構造パターンが気流から受ける影響とこれに関する計算機シミュレーション、気流がある場合のBSO結晶による誘電体表面電荷測定を行った。 並列化マイクロギャップ放電の並列数の増加および高周波数駆動については、放電セルを3つの増加させ、散逸ソリトン構造の変化を調査した。セル数を1~3に増やしたときの自己組織構造の維持時間はそれぞれ、印加電圧1周期に対し6 %、12 %、22 %となり、セル並列化によって自己組織構造の正味の維持時間は増加した。また、3セル並列時においても駆動周波数の変化による空間構造の大きな変化はなく、電子密度は駆動周波数が高いほど大きくなる。 放電の六角構造パターンが気流から受ける影響については、導入ガスの流れに従ってフィラメント(スポット)が運動することを期待したが、本実験条件の範囲内ではフィラメントの運動モードは観測されなかった。また、導入ガスの速度の増加に伴って、フィラメントの直径は増加したが、格子定数には大きな変化はなかった。反応拡散方程式に基づく計算機シミュレーションにおいて、電子の移流速度をガス流の方向に与えたときのフィラメント直径は、電子の移流速度の増加にともなって大きくなり、実験で現れる傾向は計算で再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、マイクロギャップ放電をマイクロ波によって励起し、これ用いて空間対称性を有し局在性の高い自己組織構造である散逸ソリトンを生成し、この持続時間を長くすることやプラズマ密度を高めることを目的としている。また、この自己組織構造をプラズマフォトニック結晶とみなし、プラズマ屈折率の周期構造をマイクロプラズマの自己組織化で実現し、電磁波制御の効果を検証する。科研費申請時の当初計画では、平成26年度は先行研究(若手研究B、基盤C)から派生した研究項目が主な実施内容になっており、マイクロギャップ誘電体バリア放電を用いた研究を行ったので、プラズマ生成実験に必要な装置・実験室、その他のインフラはほぼ整っていたので、研究が極端に遅れる理由は特になかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の研究と並行して、電磁波の課題に着手する。マイクロ波を散逸ソリトン構造へ導入することや、電磁波の透過率の測定系の立ち上げなどに取り組む。平成26年度にネットワークアナライザ等の電磁波計測装置の準備が整ってきたので、これに関する実験的研究を行う。また、マイクロ波電源等のプラズマ生成系も整ってきたので、プラズマ高密度化の実験的研究を行う。また、理論的研究・解析については、当初計画ではさらに高度なモデルである三成分拡散反応系の基礎方程式を用いた計算を計画していたが、学会等での研究交流を通じて、プラズマ流体モデルでの計算を行い、実験との定性的な一致だけでなく、定量性を持たせることが重要との認識に至ったので、今後は流体モデルとのすり合わせを行っていくことにする。
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Research Products
(15 results)