2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400004
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
早田 孝博 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (50312757)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シンプレクティック格子 / 基本領域 / ジーゲル上半空間 / ランキン定数 / 完全行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
4次元の格子のうち、そのグラム行列が2次の実シンプレクテック群になっているものをシンプレクティック格子という。シンプレクティック格子はジーゲル上半空間をそのパラメータ空間にもつ。ジーゲルモジュラー群による同値類はしたがってジーゲル基本領域がパラメータ空間である。4次の格子の典型的な高さ関数はエルミート定数を与える一次のものとランキンによる高次に一般化されたものがある。高次のものについてはランキンによるランキン定数の決定があり、またクーランジェオンによる完全格子の導入がある。申請者の2015年度における研究は、これをシンプレクティック格子の場合に考えるものであった。2次の高さ関数に関する最短モジュラー行列(これはエルミートの場合の最短ベクトルにあたる)のモジュラー同値類の数を2次のキス数という。2次のキス数が局所最大になるものが、この場合の完全性にあたる格子と考えられるが、申請者はグレブナー基底を用いることにより、(1) A2xA2格子、(2)D4格子、および(3) あるルート格子でないもの、が上記性質をみたすシンプレクティック格子であることをつきとめた。(2)はクーランジェオンの意味で完全である。(1)は完全ではない一方(3)は定かではない。これを解決することが今後の課題である。またクーランジェオンの意味で完全な行列を2次のキス数の観点から明らかにすることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シンプレクティック格子の場合について、よい知見を得ることができているので、一定の進度が得られているといえる。この理論的な取扱い、たとえばジョルダン代数や対称錐による定式化については、理解が進んでおらず、見通しがたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最短ベクトルを求めるアルゴリズムを、二次ジーゲルモジュラー行列の場合に拡張することができたが、これをさらに4次モジュラー行列の場合でも適用可能にする必要があるので、そのアルゴリズムの開発を行いたい。その後、4次格子の場合の2次のキス数について計算を行いたい。
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Causes of Carryover |
研究連絡を予定した回数実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究連絡を十分に行う。また、不足した部品やアップグレード用の計算機物品を購入する。 さらに内外での研究発表に利用する。
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Research Products
(1 results)