2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400055
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
西中 恒和 岡山商科大学, 経営学部, 教授 (20278899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無限群 / 原始性 / 非ネーター群 / 半原始性 / HNN拡大 / 群の融合積 / 1関係子群 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究の成果の具体的内容)本研究は、まず、群の非ネーター性に着目し、非ネーター群と群環の原始・半原始性の関係を明らかにすることである。そのため、方法論として、群環のイデアルを評価するためのグラフ理論を用いた方法(SR-グラフ理論)を確立することでもある。 26年度研究計画においては、群の融合積、HNN 拡大、1 関係子群を取り上げ、その群環の原始性との関連を非ネーター群としての一般的な見地から明らかにすることであった。群の融合積、HNN 拡大に関しては、ほぼ達成されたと言える。即ち、SR-グラフの理論を用いて、既存の結果を、一般化し、改良することが出来た。この結果について、秋田での国際会議(平成26年8月開催)及び、京都大学数理解析研究所研究集会(平成27年2月開催)にて講演を行なった。現在、論文として投稿準備中である。 また、カナダト・ロントで開催された国際会議にて、新たな知見と広がりを得ることができた。即ち、群環のunit 群の自由群と群環の原始性との関係である。近年よく研究されている群環のunit 群の自由群と群環の原始性との関係は興味深い問題である。 (意義と重要性)群の融合積、HNN拡大群は、非ネーター群として、最もよく研究されている群のクラスであり、群の融合積については、既にBalogn の結果があったが、自由積に対する結果の完全な一般化にはなっていなかった。この度得た結果は、自由積の結果の完全な一般化となっている。また、HNN拡大群に関しても、本研究代表者の結果があったが、この度の結果は、より一般のHNN拡大群のものへ拡張されている。これらのことからSR-グラフの理論の有効性を確認できたと言える。 またカナダの国際会議でのブラジルの研究者との討論から、群環の unit 群との関連で、本研究に対し新たな視点がえられ、共同研究の道も開けたことの意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度研究計画においては、まずSR-グラフの理論を用いて、群の融合積、HNN 拡大、1 関係子群を取り上げ、それら群環の原始性を明らかにすることとなっていた。この目的は、(捩れのない)1 関係子群の問題は残したものの、ほぼ達成されたと言える。即ち、捩れ1関係子群の群環の原始性を導き、さらに群の自由積対する結果の融合積への完全な一般化、及び、一般のHNN拡大群に対する結果を与えることができた。この結果について、カナダでの国際会議「Groups, Rings and Group Rings」(平成26年7月開催)及び、京都大学数理解析研究所研究集会「代数系・論理・言語と計算機科学の新たな接点」(平成27年2月開催)にて講演を行なった。現在、論文としての投稿準備中である。 また、関連する分野の研究者を集め、次年度に米国(ワシントン)にて、研究集会の開催を行う準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、SRグラフ理論とそのネーター群の群環への適用について現在投稿準備中の論文を完成させ投稿する。更に平成27年6月初旬に開催することを準備してきた米国での国際研究集会にて成果発表および研究打ち合わせを行う。なお、この研究集会は当初平成26年6月開催を予定され準備していたが、オルガナイザー担当大学との日程調整の都合上次年度開催となり、この事情から、「収支状況報告書」の「次年度使用額」が404,884円となっている。 次に、一般の1関係子群の群環の原始性を考察する。捩れのある1関係子群の群環が原始であることは既に示している。捩れのない1関係子群は、一般に取り扱いが簡単ではない。また、自明でない(可換でない)捩れのない1関係子群の群環は原始でないものも存在することが予想される。いかなる群の群環が原始環でないかを明らかにできれば、群環の性質から群の性質を知る手掛かりとなると考えられる。 そして、そこで明らかとなった結果を用い、26年度の結果(捩れ1関係子群の群環の原始性)をもとに、Baumslagによる捩れ1関係子群の剰余有限性の予想の解決を目指す。 これら計画の実行のため、幅広い知識の提供を受けることが、必要性不可欠である。そのため、まずは、平成27年6月開催の米国(ワシントン)での研究集会、及び28年1月に開催されるアメリカ数学会年会に参加し、講演を行い、幅広い分野の研究者と打ち合わせ討論を行う。 また、国内では、9月に名古屋大学で開催される環論及び表現論シンポジュウムでは、プログラム責任者として開催協力を行う。更に、28年2月に開催される、京都大学数理解析研究所での研究集会(RIMS)に、無限群の指導的業績を上げているドイツの研究者Rosenbergerを招待し、講演と情報提供を依頼する。
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Causes of Carryover |
運営委員の一人として準備を進めていた米国での国際研究集会は、当初平成26年6月開催を予定していたが、オルガナイザー担当大学との日程調整の都合上次年度開催となり、この事情から、「収支状況報告書」の「次年度使用額」が404,884円となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の平成26年から平成27年6月に開催延期となった米国での国際研究集会にて成果発表および研究協力費として400,000円を計上する。 また、アメリカ数学会の年会(28年1月に開催)の参加に300,000円を計上する。環論および表現論シンポ(27年9月開催)への開催協力費として100,000万円を計上、京都大学数理解析研究所での研究集会(RIMS)(28年2月に開催)に海外講演者を招待するために 300,000円を計上する。その他雑費として4,884円を計上する。
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Research Products
(6 results)