2014 Fiscal Year Research-status Report
代数解析および数式処理による高階偏微分方程式系の解の構造の研究
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26400110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 清臣 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60107688)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 円の族を含む曲面 / 5階偏微分方程式系 / 非線形偏微分方程式系 / 佐藤超関数 / 超局所解析 / 数式処理 / 境界値問題 / 代数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,3次元空間内で2種類以上の円の連続な族を含む曲面をすべて決定せよ,という問題について当初計画に述べた方法に沿って,途中段階までの計算結果を得た.これは単独2変数関数に対する2連立非線形5階偏微分方程式系の解をを5個の1変数未知関数に対する常微分方程式に帰着させる計算であるが計算結果のいくつかがGBクラスのファイルになると予想されることがわかった.このような大変な状況から目的を達成する別の方法での計算も視野に入れ,連立偏微分方程式系のままで初期パラメータに関する関係式を得る,という方法も考えた.具体的な式を得るにいたっていないがどの程度の計算量で必要な関係式が得られるかを見積もった.それによると目的を達成するためには単独2変数関数の13階微分までの初期値に関する関係式の計算が必要であることがわかった.
2,解析的偏微分方程式系の混合問題の代数解析的取り扱いについて,1990年に研究代表者が発見した層B_Y(O_X)を用い(A geometric approach to diffraction problems, RIMS Kokyuroku, 757(1991), 183-208 にアイデアを掲載),かつ微分方程式系と解に対する境界条件方程式系を合わせたD-加群を構成することにより単独方程式の場合の研究代表者らの結果(On microhyperbolic mixed problems, J.Math. Soc. Japan 43(2)(1991), 261-304)をこの場合にも拡張できることがわかった.この手法は単独方程式の場合においても回折現象におけるG. Lebeau の第二超局所解析性の別証明を与える可能性が期待できる.なお,この証明法は1991年の段階では証明にギャップがあった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,2つの円を族を含む曲面の決定問題では大掛かりな数式処理が必要で本研究費により高速,大規模メモリーをもつサーバーを購入することができた.これを用いて必要な計算を進めているが計算量は予想以上に大きいいことがわかってきた.今後は使用ソフトや理論的な他の方法への変更も含めて少し立ち止まって熟慮中である.
2,今年度は修士課程最終年の学生を2人持ち,1人は研究代表者の専門とかなり異なる分野を研究し,またもう一人は予備知識不足からかなり強力なサポートを必要とした.2人は無事修了できたがこれらの事情から2人の指導に思いの外時間が取られた.他方で1990年に研究代表者が得たアイデアでD-加群に対する混合問題の理論ともいうべきものが作れる見通しがついた.
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Strategy for Future Research Activity |
1,3次元空間内で2種類以上の円の連続な族を含む曲面をすべて決定せよ,という問題については研究計画どおりに5階偏微分方程式系を5個の1変数関数に対する5階常微分方程式系に帰着する数式処理をmathematica以外のソフトやこの方面に詳しい立教大学の野呂正行教授の開発中のプログラムを使って実行したい.また同時に偏微分方程式系のままで初期値に関する条件導出という方面からも実行したい.とくにいきなり2種類だけの場合いを考えるのではなく4種類の円を含む場合とか,よりやさしい場合から手をつける予定である.
2,層B_Y(O_X)はもともと正則関数による定義関数を使って直感的に定義されたが,代数解析的な見地からは関手論的に再定義する必要がある.そのような方法をまず確立し混合問題の代数解析的取り扱いに応用するだけではなく,もともとの目的であった解析的擬微分方程式系の直観的取り扱い,特にマイクロ台の理論の直観的取り扱いに役立てたい.
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Research Products
(1 results)