2015 Fiscal Year Research-status Report
非アルキメデス的距離空間上の階層依存性のあるディリクレ形式理論の俯瞰的構築
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26400150
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
金子 宏 東京理科大学, 理学部, 教授 (90194919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超距離空間 / 木構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年の9月7日から12日までの期間にベオグラード(セルビア共和国)にて行われた研究集会、International Conference on p-adic mathematical physics and its applications において講演をおこなった。参加者のうち特にデータ解析の研究者と討論を行い、その研究者の次回訪日に合わせた再会の予定も立てることができた。この研究集会が終了した後、モスクワに移動しSteklov Mathematical Instituteを尋ね、Igor Volovich氏と面会し、今後の研究課題に関係した分野の発展の可能性について意見を交わし、国内では得にくい近年の研究の推進の動向などが把握できた。超距離空間における統計学的考察につながる確率論的な発展の余地についても意見を交わすことができた。 同年11月28日から29日にかけて、金沢大学の加須栄教授を神楽坂解析セミナーに講演者として招き、研究連絡も併せて行ない、幾何学的な見地を踏まえた研究の方向性を把握することができた。 また、書籍や研究集会にもちこむためのレーザーポインターなどの購入により、研究交流の際の予備知識の獲得や、込み入った部分の説明の明瞭化がなされる環境も整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から継続している研究については、改良された内容を発表することができており、論文として十分発表できる状況になっている。数理物理に非常に詳しいVolovich氏との意見交換や、申請者と同じ木構造や超距離空間を幾何学的な知見に基づいて捉えている加須栄氏の意見などを参考にした研究の方向性など、今後の発展の余地も生まれてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
木構造をもつグラフ上のランダムウオークや、木構造をもつグラフ上での幾何学的な把握とスペクトル解析との関連についての発展的考察、それと有機的に関連するはずである超距離空間において展開可能な統計学の基礎づけとなる確率論的考察のうちから、打診計算などをしつつ、本来の研究に加えて,感触がよさそうな課題について研究を推進することにも十分留意する。
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Causes of Carryover |
セルビアでの研究集会参加と、ロシアでの研究連絡の2回に分けて行うことを想定していた海外出張を、一回の出張で2カ所を訪れることによって実現できことが要因として大きかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
木構造上で展開可能な統計学に関連した確率論の展開など、周辺分野への関心が高まるきっかけが得られたため、それを論拠とする発展性を念頭に置いた研究に経費をあてがう計画とする。関連して、木構造上での固有関数と超距離空間での固有関数との関連を数値的な計算から読み解く研究なども含め、資金の振り向け方について研究上においても有意義な広範さがもたらされるよう留意し、研究を遂行するよう計画する。
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