2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of supercritical accretion on the cosmological growth of supermassive black holes
Project/Area Number |
26400229
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 理学研究科, 教授 (70229780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ブラックホール天文学 / 降着流 / アウトフロー / 輻射流体力学 / 輻射輸送 / パルサー / X線分光 / 一般相対性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、27年度に引き続き、当初予定の3項目に新規1項目を加えて研究を推進した。 1.ブラックホール成長初期の連続的超臨界降着:(1)2年度に新規導入した輻射フィードバックによる物質の化学組成(電離状態)変化を調べるための新サブルーチンを導入して降着流の輻射流体・輻射磁気流体シミュレーションを実行し、ブラックホール質量が太陽質量の10万倍を超えると、従来知られていたホットアウトフローとは別種の、中性ガスのアウトフロー(ワームアウトフロー)が噴出することを発見した。(2)以上の内容につき論文執筆を進めた(平成28年5月1日時点でまもなく投稿の予定)。 2.バイナリーブラックホールへの超臨界降着:メッシュ法シミュレーションを実行して二つのブラックホール近傍のガス流構造を明らかにするとともに、輻射場を解いて、アウトフローが3次元的にどのように噴出するかを、テスト粒子を用いて調べた。現在、論文にまとめつつある。 3.降着流とアウトフローの観測可能性:(1)高光度降着流が生み出す、X線領域でのコンプトン散乱により変形された連続光スペクトルをモンテカルロ法によって計算し、見込み角度によってスペクトルが大きく変わることと、硬X線領域でべき型スペクトルをもつ超過成分が発生することを示した。この計算は、最新のULX(超高光度X線源)の観測をみごと再現した。(2)一般相対論的磁気輻射流体シミュレーションデータを使って、ブラックホールに落ちこむガスリングの運動と輻射光度変動を定量的に明らかにし、論文にまとめ、査読雑誌に投稿した。 4.超臨界パルサー:強磁場中性子星の降着コラムへの超臨界降着流の輻射流体シミュレーションを実行して得られた結果を論文にまとめ、査読雑誌に出版した。
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