2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400422
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90189019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 耕司 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00425646)
NICCHORMAIC SILE 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 准教授 (10715288)
BUSCH Thomas 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 准教授 (30715272)
大見 哲巨 近畿大学, 理工学部, 研究員 (70025435)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非断熱量子制御 / 冷却原子 / 光ファイバー / 多体量子系 / 高忠実度量子ゲート / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26度は,7月に上海大学でワークショップ"Shortcuts to Adiabaticity 2014"を共同開催し,1月に沖縄科学技術大学院大学でミニシンポジウム"Quantum Control of Light and Matter"を共同開催し,研究代表者,分担者,研究協力者が一堂に会し,現在の研究テーマについて討論を行った.その結果,様々な共同研究が現れた.代表者中原は上海で、協力者増田と冷却原子のBECにおける渦糸のトポロジカル生成において、生成過程でトラップから非断熱遷移により焼失する原子を,RiceやBerryによって開発されたCounter-diabatic場を用いて抑制する方法を議論した.その後沖縄で具体的な計算の議論を行った.最初の提案では,2つの閉じ込め磁場が必要であったが,その後協力者のGungordu(現在Nebraska大学研究員)との議論で,適当な座標変換を行えば,一つの閉じ込め磁場で同様の非断熱量子制御が可能であることを見出した.それにより,実証実験がはるかに現実的となった.この研究には分担者大見も参加している.分担者Nic Chormaicはナノ光ファイバー付近に原子をトラップする実験を行っている.それにより,誘電性の表面が原子に与える効果を研究した.これらの研究は原子とナノ光ファイバーを用いた量子ネットワーク構築に本質的である.その結果は投稿中である(arXiv:1502.01123).Buschは非自明な幾何学的配置における,多成分BECの相分離を研究した.丸山は多体量子系へのアクセスが限定された状況下で,系に関する予備知識なしにそのハミルトニアンなどのダイナミクスを決定するものの特定を見出した.それにより誘起されるヒルベルト空間の構造についても知見を得,観測可能なダイナミクスについての同値類や,制御(不)可能空間について数学的特徴付けを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成26年度は全員が集まるワークショップを1回行う予定であったが,上海大学と沖縄科学技術大学院大学の協力を得て,2回行うことができた.ワークショップには,当科研費のメンバーだけでなく,関連領域の研究者も招聘し,いくつかの共同研究が始まった.特に中原,大見,増田,Gungorduが研究を進めている,BECのトポロジカル渦生成における非断熱遷移の抑制の研究は,おそらく場の理論に非断熱量子制御を適用した初めての研究であり,そこに現れる問題点とそれを克服する方法の提案,実験とのインターフェイスなどの成果は,幅広い分野への応用が見込まれる.Chenも今後この研究に参加する予定である.現在,その結果を論文にまとめており近々専門誌に投稿する.その他,交付申請書に記載した高忠実度量子ゲートの開発や量子誤り訂正符号の開発なども滞りなく成果を挙げた.
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) まず,平成26年度にスタートした研究テーマのうちBECにおけるトポロジカル渦生成など,結果が出たものは論文としてまとめて出版する.この研究テーマには冷却原子の実験家も興味を持っており,今後は実験家とも協力して理論を検証する実験的研究も進める.平成26年度にはまだ萌芽的研究段階の非断熱幾何学的量子ゲートに関しては,今後ノイズ耐性などの研究を行う.平成26年度の2回のワークショップで得られた知見を整理し,本研究のメンバーのみならず,他の研究者も加えた共同研究を進める. (次年度の研究費の使用計画) 中原は,研究を進めるうえで分担者や研究協力者を訪問または招へいする.研究費はそのために旅費として使う.また今後は数値計算を多く行うので,そのためのソフトウェア,ハードウェアを整備する.現在のメンバーの進行状況を把握し,その発展を目的とする研究会を開催する.
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