2017 Fiscal Year Research-status Report
Fault strength of the plate interface along the northeastern Japan Arc inferred from tectonic loading model and inversion alayisis
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26400451
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺川 寿子 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (30451826)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絶対応力 / 応力インバージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は,地震データの応力インバージョン解析により,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以後,東北沖地震)前後のテクトニック応力場の変化を捉える研究を実施した.このため,まず,CMTデータインバージョン法(Terakawa & Matsu’ura, 2008)の推定誤差評価方法を検討した(Terakawa, 2017).この手法では,応力の各成分をスプライン関数の重ね合わせで表現し,その展開係数をモデルパラメータとし,モデルパラメータの最適解と分散―共分散行列を推定する.この特長を生かして,解析で得られたモデルパラメータの最適解と分散―共分散行列に従う多変量の正規乱数を用いて,応力場のテンソル量としての誤差をテンソルの内積を用いて評価する手法を確立した. 日本列島域のテクトニック応力場は,これまでに,1997年1月~2007年1月(期間1)までのF-netカタログの地震データからCMTデータインバージョン法により推定されている(Terakawa & Matsu’ura, 2010).そこで,東北沖地震後の応力場を調べる前に,1997年1月~2007年1月までのデータから得られた応力場のパターンの推定誤差評価を行った.この結果,東日本一帯の応力場のパターンは東西圧縮の逆断層型で特徴づけられるが,推定誤差の大きさにはばらつきがあることがわかった.また,1997年1月~2011年2 月(期間2)及び2011年3月11日の東北沖地震後から2017年6月30日(期間3)のF-netカタログの地震データをCMTデータインバージョン法に適用し,東北沖地震後の日本列島域の応力場のパターンを推定した.これらの結果,東北沖地震前までは東日本の応力場は安定な状態にあったことや,東北沖地震により大きく滑った領域周辺で,応力場のパターンが大きく変化している様子がとらえらえられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,当初は,応力蓄積シミュレーションと応力インバージョン法を組み合わせて東北日本弧の絶対応力場を推定する予定であった.地震のメカニズム解から絶対応力場を推定する手法の開発に進展があった.しかし,沈み込み帯での応力蓄積を数値計算で精度良く行うことが十分満足にできていない.そこで,新しい展開として,地震のメカニズム解から地殻の絶対応力場をモデル化する手法の定式化を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に着想を得た「絶対応力のモデル化方法」の開発を進める.本手法を沈み込み帯に適用する前に,取り扱いの簡単なサンアンドレアス断層周辺域(南カリフォルニア)の地震データに適用し,その有効性を確かめる.観測データは,Yang et al. (2012)のカタログのメカニズム解を用いる.絶対応力場のモデル化するためのパラメータとして,応力場に対する最適面の間隙流体圧レベル(参照間隙流体圧)を導入する予定である.参照間隙流体圧を変化させ,南カリフォルニアの絶対応力場を複数計算する.解析期間中に発生した,大地震の応力場の変化を拘束条件に,適切な参照間隙流体圧レベルを推定することを試みる. また,強度の低下による見かけの応力変化を考慮した絶対応力場の推定方法について検討する.可能であれば,テスト例題を用いて実証的に手法を確立する.
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Causes of Carryover |
2018年6月4-10日の日程で,ハワイで開催されるAOGS Meeting 2018に参加し,日本の応力場に関する研究発表を行う.旅費に約40万円,参加費7万円が必要となる.また,地震のメカニズム解から絶対応力場を推定する新しい手法の論文を,国際誌(JGRなど)に投稿する.掲載された場合は,掲載料訳15万円,別刷り料金10万円が必要となる.さらに,本課題の初年度に購入した計算機が壊れたため,その修理代を15万円程度見込んでいる.
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Research Products
(4 results)