2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on vortex-type low pressure systems around the Meghalaya, Bangladesh and Myanmar region
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26400465
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤波 初木 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (60402559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バングラデシュ / 低気圧 / 降水システム / 季節内振動 / 雲解像モデル / アジアモンスーン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,夏季ベンガル湾で発生しバングラデシュとインドに豪雨をもたらすモンスーンdepression(以降,モンスーン低気圧とする)の発達過程を理解するため,雲解像モデルCReSSを用いた数値実験を行った.対象は2016年8月17日にベンガル湾最北部で発生したモンスーン低気圧である.この低気圧は8月16日から17日かけてバングラデシュ至近のベンガル湾最北部で急発達し,モンスーンdepressionになった.降雨観測衛星(GPM)と雲観測衛星(CloudSat)の観測により,この低気圧の発生期にはベンガル湾北部で背の高い対流性の降水システムが観測された.また,発生後の低気圧内部には,局所的に強い降水を伴う螺旋状の降水帯が観測された. 雲解像モデルCReSS(水平解像度5km)を用いて,この低気圧の発生・発達の再現実験を行った.初期値には8月14日12UTCの大気再解析データを与え,その後7日間はCReSSの物理過程のみで計算を行った.CReSSによる低気圧の中心気圧の変化は,観測されたモンスーン低気圧の発生・発達のタイミングを良く再現していた.また,観測された降水分布の特徴も概ね再現できた.低気圧の急発達に対する雲・降水活動の潜熱の効果を調べるため,CReSSの雲微物理過程をオフにした感度実験を行った.その結果,モンスーン低気圧は発生も発達もしなかった.さらに,ベンガル湾から大気への潜熱供給の効果を調べるため,雲微物理過程はオンにしてベンガル湾からの潜熱供給をオフにする実験を行った.その結果,ベンガル湾に弱い降水システムが発生するものの,急発達は起こらなかった.これまでの先行研究には,モンスーン低気圧の発達に傾圧的な大気が重要であるとの結果もあるが,本研究が対象としたモンスーン低気圧は,台風と同様に,発達には対流活動と海上からの潜熱供給が不可欠であることが分かった.
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Research Products
(5 results)