2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cavity ring-down spectroscopy of radicals and radical complexes
Project/Area Number |
26410019
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
須磨 航介 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (10506728)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分解能分光 / ラジカル / ラジカル錯体 / 分子軌道計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度研究では、HO3ラジカルの非調和共鳴に関する理論研究、4原子分子のレナー・テラー効果に関する実験および理論研究などを行った。以下、それぞれについて概説する。 前年度までに行ったHO3ラジカルのMRCIによる理論計算により、HO3ラジカルの既報の殆どの実験結果を再現することができた。しかし、一部の振動励起状態の回転定数について大きな誤差がみられ、このことは局所的な摂動の存在を示唆していた。この摂動としてFermi共鳴およびCoriolis共鳴の可能性について検討を行った。回転定数の誤差の大きな準位に対し、摂動を与える可能性のある準位を力場計算の結果から見出し、影響を見積もった結果、これらの共鳴効果はともに回転定数Aに最大で数十MHz程度の影響を与える可能性があるが、理論と実験の大きな不一致を説明するまでには至らなかった。実験結果や解析結果についても精査が必要かもしれない。 後者の研究ではまず、4原子分子(2Π)の変角振電準位構造を関係するハミルトニアンを直接対角化して求める計算プログラムを作成した。作成したプログラムを用いSiCCNラジカルの基底状態およびB状態の振電準位の計算を行った。得られた計算結果を用いて等原子価のC3Nとの比較を行った。さらに、CRDS分光器によりSiCCNのA-X遷移の探査を行った。予備的に行った類似種であるSiC3HのA-X遷移の観測では十分な強度で信号が観測されたが、SiCCNの検出には至っていない。これは前駆体に用いたSiCl4の影響で装置が大きな損傷を受けたことが一因で、今後はより安定な別の試料を用いて検出を目指したい。また、本装置は基底状態の振動構造についての情報を得にくいという短所があるが、分子線の温度が比較的高いため、低い変角振動準位からの遷移が直接観測できるかもしれない。これを観測することで基底状態のレナー・テラー効果について直接的な情報を得たい。
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