2014 Fiscal Year Research-status Report
オールイン型デンドリマーを用いた癌の「見張り」リンパ節のイメージング・薬物送達
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26410227
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児島 千恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50405346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 美香子 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20344351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イメージング / デンドリマー / リンパ節 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の死因の第一位である癌の克服のため、転移性癌細胞の検出・薬物送達は非常に重要である。我々はこれまでサイズや構造を制御することができる合成高分子であるデンドリマーを利用して薬物運搬体やイメージング剤の作製を行ってきた。本研究では、転移性癌細胞の最初の通り道であるセンチネルリンパ節(「見張り」リンパ節)を正確にかつ様々な手法で検出できるデンドリマーイメージング剤を作製すること、さらには、イメージング素子だけでなく、癌標的化分子、薬物を付与したオールイン型デンドリマーを作製して、センチネルリンパ節に移行した転移性癌細胞のイメージング・薬物送達を行うことを目的としている。本年度は、その初期検討として、デンドリマーのサイズ、化学構造とセンチネルリンパ節への移行性との相関を明らかにするため、世代数および表面構造の異なるデンドリマーイメージング剤を合成し、センチネルリンパ節への移行性を検討した。その結果、第4世代(粒径が6nm)以上のカルボキシ末端のデンドリマーがセンチネルリンパ節へ多く移行することがわかった。そして、キレート剤を結合させ、続いて放射性インジウムイオンでラベルしたデンドリマーを用いて、センチネルリンパ節の核医学イメージング(SPECTイメージング)を行うとともに、蛍光色素を結合したデンドリマーを用いて、センチネルリンパ節の蛍光イメージングを行った。そして、組織切片の蛍光免疫染色によって、上記のカルボキシ末端のデンドリマーはマクロファージなどの免疫細胞にはあまり取りこまれないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度にはデンドリマーの構造最適化とSPECTによる核医学イメージングを行う予定であった。上記のように、これは達成した。そこで、2年目に行う予定であった蛍光イメージングを前倒しで実施することができ、その成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、センチネルリンパ節に局在するガン細胞のイメージングやドラッグデリバリーを実現するべく、初年度の研究で明らかにしたセンチネルリンパ節への移行のために最適な構造を持つデンドリマーにさらなる改善を加える。
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Causes of Carryover |
既存の試薬や器具を用いて実験を遂行することが出来たため、購入が必要な物品費が当初の予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記で生じた余剰分は、今年度の物品費の購入や英語論文(総説)発表のための英文校正費などに使用する予定である。
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