2014 Fiscal Year Research-status Report
Ni基超合金の初期疲労き裂進展に対する結晶破壊力学アプローチ
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26420008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阪口 基己 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60452083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疲労き裂進展 / 耐熱超合金 / 結晶粒界 / 破壊力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高温構造材料として用いられるNi基耐熱超合金における発生初期の疲労き裂進展をターゲットにし,実機材と同程度の厚さを持つ小型サンプルを用いた実験により,超合金の初期き裂進展挙動を支配する結晶学的・破壊力学的学理を明確にすることを主目的にしている. 平成26年度は,まず,結晶粒界を含まない単結晶材を対象にした疲労き裂進展試験を室温で行い,結晶方位と試験片板厚がき裂進展挙動に与える影響を実験的に検討するとともに,3次元弾塑性有限要素解析によりき裂先端の力学場を計算し,得られた実験結果に合理的説明を与えた.つぎに,鋳造方向に結晶粒界が一方向に配列した一方向凝固超材(DS材)から切り出した小型試験片に対する同様の実験を行い,結晶粒の結晶方位と粒界での方位差,および,き裂面と粒界との幾何学的配置の影響について検討した.その結果,結晶粒内を進展するき裂は粒の方位に関係なく第Ⅰ段階型のき裂進展形態で進展すること,この時の結晶粒内でのき裂進展挙動に与える結晶方位の影響は単結晶材で見られた傾向と一致すること,および,き裂進展速度はき裂が屈曲する際の破面の角度差が大きいほど低下し,この低下度合いは粒界で屈曲した場合も粒内で屈曲した場合もほぼ同等であることを明らかにした.また,このDS材の小型試験片をモデル化した2次元弾性解析により,第Ⅰ段階疲労き裂進展に与える粒の結晶方位とき裂先端から粒界までの距離の影響について解析し,粒界近傍でのき裂進展駆動力は粒界をはさむ2粒の方位差に依存すること,この方位差による影響はき裂が存在する粒の結晶方位によって変化することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で立ち上げてきた実験装置や数値解析ソフトは使用できることもあり,ほぼ当初の予定通りに研究が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,主に室温での疲労き裂進展に注目した実験と解析を行ったが,27年度からは高温でのき裂進展挙動に注目して検討をすすめる.
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Causes of Carryover |
当初は高温での微小き裂の観察を可能にするために高分解能長距離ズームレンズを購入予定であったが,26年度の実験では室温でのき裂進展挙動に注目し,現有装置の微調整により対応できたため購入を見送った.このズームレンズに相当する金額を次年度使用額として繰越すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高温環境での実験に使用するため,当初26年度に購入予定であった長距離ズームレンズを27年度に購入予定である.
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