2014 Fiscal Year Research-status Report
耐水素脆性に優れた高強度オーステナイト系ステンレス鋼のSSRT特性に関する研究
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26420017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井藤賀 久岳 九州大学, 水素材料先端科学研究センター, 准教授 (70310539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素脆化 / SSRT特性 / ステンレス鋼 / ニッケル当量 / 内部水素 / 外部水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
JIS規格材(SUS321,SUS304N2)及び非JIS規格材(少量溶解したSUS304(V),SUS304(N),SUS304(Nb))と比較のため一般的なSUS304,SUS316,SUS316Lを用いてSSRT試験を実施した.試験環境は①未曝露材を用いた室温・高圧水素ガス中,②未曝露材を用いた低温・高圧水素ガス中,③高温・高圧水素ガス曝露材を用いた室温・大気中,④高温・高圧水素ガス曝露材を用いた低温・窒素ガス中,⑤未曝露材を用いた室温・大気中,⑥未曝露材を用いた低温・窒素ガス中である.①及び②は外部水素,③及び④は内部水素の影響を検討することができる. 試験の結果,室温に比べ,低温の引張強度は,加工誘起マルテンサイト変態により上昇する.室温・高圧水素ガス試験と曝露材試験において,ニッケル当量の低い材料は大気中の引張強度に達する前に破断した.一方,低温・高圧水素ガス試験と曝露材試験では,室温よりも水素の影響を顕著に受け,破断強度は低下した.水素の影響を受けにくい材料の破面は,全面がディンプルで覆われているが,水素の影響を受けやすい材料の破面は,擬へき開破面であった.ニッケル当量の上昇により水素の影響は低下することから,窒素やニオブ等を微量添加しニッケル当量を高めることで耐水素脆性を向上させることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数種類のニッケル当量が異なるオーステナイト系ステンレス鋼を用いたSSRT試験が実施できた.内部水素(水素曝露材の試験)と外部水素(高圧水素ガス中の試験)におけるそれぞれのSSRT特性の把握ができ,破面観察も終了し,基本的なデータの蓄積ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
水素曝露材の試験と高圧水素ガス中の試験の条件をさらに詳細に検討し,水素脆化メカニズム解明のための試験を実施する.試験結果をもとにニッケル当量と水素脆化の関係を明確にし,さらに耐水素脆化の優れたオーステナイト系ステンレス鋼の探索を行う.
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Causes of Carryover |
基礎的なデータを得るために,既存の材料を用いた試験を実施したため,新規材料の購入及び試験片作成が予定より少なかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで得られたデータをもとに新規材料の購入及び少量溶解材の作成等を実施する.
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Research Products
(2 results)