2014 Fiscal Year Research-status Report
小型玉軸受の損傷におよぼす外部振動の影響の定量的解明
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26420088
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
金田 徹 関東学院大学, 理工学部, 教授 (20169551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 宜典 関東学院大学, 理工学部, 講師 (00547060)
野口 昭治 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80349836)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 転がり玉軸受 / 外部振動 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助金額が減額されたため、申請時の計画では合計10台(平成26年度は5台)の実験装置を製作する予定は、変更せざるをえなくなり、結果として、3台の実験装置を製作した。 試験軸受として、単列深溝型転がり玉軸受608VV(試験後に、簡単に分解でき、内外輪・転動体の表面状態を観察できる)を使用し、定格荷重の2割の軽荷重(ラジアル方向)をかけ、そのことから計算できる規格上の寿命の3倍の時間(1560時間=65日間)について連続的に稼働させた。なお、試験軸受の回転数は4400rpmとし、ラジアル方向の外部振動数として、転動体の公転回転数である1470rpmを設定した。初期の外部振動加速度として、自動車エンジン(シリンダヘッド)のアイドリング時と同等の1m/s2を設定し、第1回目の実験を平成26年12月中旬に開始した。なお、費用の関係もあり、平成26年度はラジアル方向のみの外部振動を加える実験だけを対象とした。 1560時間が経過する(平成27年2月下旬)までに、軸受の故障(寿命)と見なされるまでの現象は生じず、3台の共に回りきった。振動加速度および温度のデータについて、3台共に同じ傾向を示すとは言い難い結果であったが、1台のみ、振動加速度および温度の上昇が大きい軸受があった。その軸受を分解して、内輪・外輪・転動体・グリースの状態を観察したところ、内・外輪および転動体の表面に損傷は認められなかったが、グリースについては黒色化(金属粉の混入による)が認められた。 一方、共同研究者(他大学)でも、従来の実験装置を流用して、同一あるいは異なる実験条件を設定して、実験を開始していることを書き添えておく。さらに、無加振状態では何ら異常が生じない試験軸受が、外部振動を作用させることによって、振動加速度および温度が上昇した例が確認できたので、外部振動の影響があることが検証できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の製作に要する部品・素材が揃うまでに、予定以上の時間が経過したこと、実験装置の設計図に若干の不備があり、再加工を余儀なくされたこと(授業期間中ということもあり、実習工場を利用できる時間にも制限があった)などが重なった。さらに、実験装置の配線の不具合による補修作業も含めて予期せぬ時間もかかってしまった。これらの背景によって、実験開始が2014年12月中旬になってしまった。 また、申請時には、外部振動を作用させる方向として、ラジアル方向およびアキシャル方向の2方向としていたが、アキシャル方向用のモータおよびモータドライバを購入する費用の余裕がないことから、当面はラジアル方向だけに限り、実験を重ね方針とした。 1回の実験完了に1560時間(65日間)を要することから、問題が発生しない限り、今後の1年間(1年度)では5回前後の回数しか熟せないことを念頭にして、今後の計画を進める必要がある。 全体的には、複数台の実験装置が完成し、順調に実験が進行しており(現時点では、後述のように、2回目の実験を実施中である)、研究実績の概要に記述した通り、外部振動の影響があることが明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
アキシャル方向の外部振動およびラジアル・アキシャル合成外部振動については将来的な課題とし、本研究課題では一方向(ラジアル方向)の外部振動による寿命への影響を定性化・定量化することを、まずは重要ということにした。 また、平成26年度に得られた1回分(3台)の実験結果からも分かるように、すべての実験装置での結果が、同じ傾向を示すものではないことが明らかである。したがって、より多くのデータ(事例)の蓄積がない限り、結果を一般化することも困難である。現時点では、1回に1560時間を要する実験を可能な限り繰り返し、結果を蓄積することが先決である。そのためにも、共同研究者(他大学所属)が実施している実験条件での結果も蓄積しておく必要もある。実験終了時点の試験軸受については、分解の後に内・外輪および転動体の表面、グリースの状態などを観察するとともに、回転の周波数的特徴をFFT解析によって定量化するとともに、傾向を一般化する試みも必要となるので、これらのための機器を準備しておく。 多くの結果が蓄積された後(平成27年度末辺り~平成28年度中頃)、お互いの結果を持ち寄って、外部振動が寿命におよぼす影響を考察し、その結果を一般化してまとめる予定である。 なお、従来は一定(試験軸受の計算上の共振条件である1470rpm)としていた加振条件について、1450rpm←→1510rpmの間で連続的に上下させることができるように実験装置を工夫して、実際の共振点で稼働(回転)している状態を作れるようにした。その上で、平成27年3月上旬から、2回目の実験を開始したことを付け加えておく。
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Causes of Carryover |
当該年度末には、42円が次年度使用額として残っている状態である。この「次年度使用額」が0円以下(理想的には、ちょうど0円)になるようにすることもできるが、その場合は、支払い先に次年度の予算が実際に配分されるまで、待っていただくことになってしまうため、それを遠慮したためである(次年度に購入を予定している内容が、数十万円を超えるものを検討している)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、振動加速度信号の周波数特性を解析するために、スペクトルアナライザあるいはFFTアナライザの購入を検討している。しかし、次年度に予定されている配分額では、新品を購入することは困難である。したがって、中古品を探す予定である、 さらに、当該年度内に、本研究成果について学会発表を行ったが(別途予算にて)、次年度についても、途中までの成果になるかもしれないが、学会発表する計画であるので、旅費にも充てる予定である。
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Remarks |
現時点では、本科研費による研究内容についての掲載はないが(現時点までの業績を公開中)、公開できる時期が来れば、公開予定である。
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Research Products
(2 results)