2014 Fiscal Year Research-status Report
2000℃級ガスタービン用先進的フィルム冷却の流動伝熱場の基礎データベースの構築
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26420145
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
武石 賢一郎 徳島文理大学, 理工学部, 教授 (70379113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮山 正治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40178372)
小田 豊 関西大学, 工学部, 准教授 (50403150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フィルム冷却 / シェイプトフィルム冷却孔 / ジェット / 混合 / LIF / PIV / PSP / LES |
Outline of Annual Research Achievements |
2000C級のフィルム冷却は、その孔形状最適化および、それを適用する場の多用性と、現象が複雑な壁近傍における主流との非定常混合であることから非常に困難である。最小量のフィルム冷却空気で、壁面上に最適なフィルム冷却膜を形成する手法の構築を目指して、フィルム冷却空気と主流との混合の3次元流動場の詳細な測定と、その解析に関する初年度の研究を実施した。 実験には、フィルム冷却孔としては典型的な30°傾斜した円孔フィルム1種と、円孔フィルム出口を流れ 方向に15°、スパン方向両側にそれぞれ15°開いたシェイプトフィルム孔の計2種を用いた。測定方法には、H23-25年度科研基板研究Cで開発したアセトンLIF法を空間アセトン濃度分布の測定に、またオリーブ油微粒子を粒子マーカに用いたPIV法を空間速度分布の測定に適用した。さらに壁面のフィルム冷却効率をPSPを用いて測定した。瞬時場の結果とそれから得られる平均場の測定結果を用いて、アセトンの濃度変動のRMS(Root Mean Square)値を求めた。このRMS値からフィルム冷却空気と主流の混合が行われている詳細なメカニズムおよび領域が明らかになり、また主流乱れに強く依存することが明らかになった。 数値解析の研究では、非定常乱流場が解析可能なLarge Eddy Simulationに基づく数値シミュレーションプログラムの開発を行った。またこのプログラムを用いてフィルム冷却空気に旋回を付加する新方式のフィルム冷却の数値解析を実施した。タービン翼エンドウォール内部で互いに交差する2本の傾斜衝突噴流により,内部冷却を兼ねつつフィルム冷却空気に旋回を付加する方式を対象として,キャビティ内部の旋回流を含めたLES解析を実施し,フィルム冷却性能の向上メカニズムの解明を試みるとともに,実験データとの比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円孔フィルムと典型的なシェイプトフィルム孔の2種に関して、低速風洞を用いたフイルム冷却空気と主流の混合場の流れ方向の代表的な位置に於ける二次元断面のアセトン濃度分布、速度分布に関するデータが得られた。流れ方向の代表的位置のおけるアセトン濃度の瞬時値と平均値が得られ、これらの値よりRMS値を求めることが出来、主流の乱れ強度をパラメータに測定するとRMS値の分布より、フィルム冷却空気と主流の混合のメカニズムが明らかになった。数値解析のベースデータとして比較検証できる最低限の基礎データの取得が出来た。 また解析では非定常の乱流混合現象が解析できるLESコードを作成し、旋回を有しないフィルム冷却空気と主流との混合問題を解き、実験結果と良い一致を示すことを確認した。実際のタービン翼面上の冷却に使用される場合、フィルム冷却は内部流の影響を受け旋回成分を有したり、また主流も単純な流れ出なく曲面、強い二時流れを伴う剪断流れであることが多い。このような複雑な流れ場をシミュレート出来るか、初年度はフィルム冷却に旋回を設け解析を実施し実験との比較を行い質量流速比の小さいところ(M<0.7)では良く一致することが確かめられた。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザ光学システムを流れ方向に自動トラバースする装置を導入して、連続した3次元的な流動場の測定を実施する。また平成26年度取得した流れ方向の代表的位置で測定した2次元の瞬時値/平均値のデータを整理して、実験を行った体系とともに数値解析の比較ベースデーターとして公表できる手法を検討する。 さらに高いフィルム冷却効率が期待されるシェイプトフィルム冷却孔の形状を検討し、数値解析的に最高効率の形状を求めた上で、伝熱模型を用いて、その混合流動特性を測定し、高性能化のメカニズムを解明する予定である。 新たに作成したLESコードを用いて、フィルム冷却の質量流速比が大きいケースの円孔およびシェイプとフィルム孔の吹き出しにおける解析を進めその誤差要因をLESコードの改良に反映する。
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Causes of Carryover |
研究分担者が利用予定であった大阪大学の大型計算機(スーパーコンピューター)が平成26年度に機種更新を実施することになり,リプレース期間中は計算機の利用が停止されることになり,大型計算機サービスの提供期間が大幅に短縮された.このため,当初の計画を一部変更し,初年度は3次元非定常乱流解析の数値解析プログラムの開発や性能改善に重点をおくことにした.以上の理由により,当初の予算額よりも実際の使用額が少なくなり,次年度使用額が生じることになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に研究分担者が開発した3次元非定常乱流解析コードを用いて,フィルム冷却流れの風洞試験データと比較可能な非定常乱流解析を学外の大型計算機(スーパーコンピューター)を利用して実施する予定である.昨年度に生じた次年度使用額は,この大型計算機の使用料に充てたいと考えている.また,この研究成果を国内外で開催される学会や国際会議で発表するための参加登録料や旅費に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)