2015 Fiscal Year Research-status Report
反共振反射を導波原理とする中空コアコヒーレントファイババンドル
Project/Area Number |
26420293
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 崇史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 祐司 東北大学, その他の研究科, 教授 (10241530)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ファイババンドル / 中空光ファイバ / 赤外イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,反共振反射を導波原理とする中空ファイババンドルの画像伝送特性を,理論的,実験的に明らかにすることである.目的の達成に向け,本年度は研究計画に従い以下の実績を得た. 1. 中空ファイババンドルの長尺化と赤外イメージング伝送実験: 長さ90 cmまでの中空ファイババンドルを製作し,加熱ニクロム線を対称とした熱画像伝送の実験を実施した.画質のファイバ長依存性を測定したところ,10 cm以下ではファイバ長が短いほど解像度が低下し,10 cmを超えるとおおよそ一定の値に収束することが判明した.これは,入射直後には漏れの大きな高次モードが多く含まれるため,隣接するコアへの漏れ光が解像度を低下させるのに対し,高次モードが十分に減衰した長尺のファイババンドルでは,隣接するコアへの光の移行が少ないことが原因であることが明らかとなった.コア径60 umのファイババンドルにおいて90 cm以上の熱画像伝送が実現できることが分かり,従来の金属内装中空ファイババンドルに比べておよそ50倍の長距離伝送に成功した.また,長さ30 cmのファイババンドルを用いて体温レベルの熱画像伝送が可能であることを実証した. 2. 中空ファイババンドルの画像伝送理論の構築 コア間の光の移行について,結合理論によるコヒーレントモデルと,幾何光学に基づくインコヒーレントモデルにより考察した.結果として,波長に対してコア径が大きいこと,製作上コア径に数%のばらつきがあることにより,インコヒーレントモデルがより実験の様子を再現していることが分かり,以下のような定性的な説明が可能であることが分かった.①伝送損失は,最外膜の反射率が高くバンドルの外径が太いほど小さく,各要素の内部反射率やコア径には依存しない。②空間分解能は,各要素の内部反射率が高くコア径が小さいほど高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コア間のコヒーレントな光結合が長距離伝送における画像伝送を困難とすることを予想していたが,コア間の光の移行がインコヒーレントな振る舞いをすることにより,解像度への影響は小さく、予想より長距離の伝送が可能であることが判明したため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究計画に若干の修正を加え,以下の検討を行う. 1. 中空ファイババンドルの高解像度化 これまでの検討から,要素径がファイバ損失に与える影響は小さいことが分かったため,ファイババンドルの高解像度化を実施する.要素数を現在の250pixから500pix以上へ増加させ,画像品質を定量的に比較評価する. 2. 中空ファイババンドルを用いた生体内温度測定 腹腔鏡または医用ロボットにおけるサーモグラフィプローブとしての応用を目指し,生体を対象とした赤外パッシブイメージングの実証実験を実施する.①手の甲における血管部の温度差、②食肉にレーザ照射したときの温度変化を検出することを目標とする.
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Research Products
(8 results)