2014 Fiscal Year Research-status Report
ISDB-T地上ディジタルテレビ放送における緊急警報放送信号の待機受信方法
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26420368
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 賢 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60359106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地上ディジタルテレビ / ISDB-T / 緊急警報放送 / EWS |
Outline of Annual Research Achievements |
以下のように緊急警報放送信号の受信方法について、技術的な考察を行った。 1. 従来のDBPSK復号方法と比較して、圧倒的に低い誤警報確率にて緊急警報放送信号を受信する方法を提案した。誤り訂正のために用意されたパリティを緊急信号の受信のみに用いる方法である。解析的な特性評価により、Eb/N0が20 dB程度の弱電波強度下においても誤警報確率を3桁以上低減できることを明らかにした。 2. 一方、見逃し確率を低減するために、ISDB-T地上ディジタルテレビ受信機において、周波数方向に配置された複数サブキャリヤを最大比合成する方法を検討した。その特性を解析的に評価して、ダイバシチ利得により見逃し確率が低減されるのみならず、誤警報確率をも低減されることを示した。 3. ディジタルテレビ受信機が容易に緊急信号を検出できるようにテレビ放送局が運用規定などの規制の範囲でにフォーマット変更することを提案した。具体的にはこれまで注目されてこなかった「ネクスト情報の活用」「異なる伝送モードの活用」に関して提案し、その効果を見逃し確率と誤警報確率の点から明らかにした。。 4. PCおよびISDB-T信号発生器を用いて、擬似的に緊急警報放送信号を作成した。緊急警報放送を受信できる装置にこの信号を供給して消費電力を測定する予備実験を行った。予備実験より、通常時においては緊急警報放送の復号アルゴリズムよりもむしろ、その他の付加的動作(例えば電子番組表の自動取得やファームウェアダウンロードなど)の実装依存部分の消費電力が大きいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、1. 緊急警報放送信号を低誤り率かつ低消費電力にて待機受信できる方法、2. 多数の制御情報サブキャリヤを分離合成できるベースバンド変換方法、3. 復号法法とベースバンド変換方法を協調動作させて低消費電力かつ確実に動作する受信機構成方法、を扱っている。初年度は、研究技術の基盤となる技術について検討と評価を行った。さらに1.および2.において、それら成果の一部を電子情報通信学会の研究会と全国大会に合計6件、映像情報メディア学会の研究会での招待による特別講演1件、国際ワークショップに1件、さらにIEEE主催の国際学会に1件発表しており、おおむね計画通りに進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 緊急警報放送信号を低誤り率かつ低消費電力にて待機受信できる方法:まず、待機受信方法に関しては、昨年度に引き続きパリティを用いた方法をベースに検討を進める。特に、従来から知られる可変しきい値法による誤り訂正方式と提案方式の併用や、緊急警報放送のみならず緊急地震速報をも同時検出できる方法の開発を目指す。次に、日本のISDB-T方式と同様な緊急時におけるディジタルテレビ受信機の自動起動を行うことのできる韓国のDMB-T方式への適用も検討する。 2. 多数の制御情報サブキャリヤを分離合成できるベースバンド変換方法:初年度は周波数方向に多重化された制御信号の最大比合成に着目して検討を行った。次年度では、制御信号の含まれるサブキャリヤを効率的に分離合成できる方法や、移動受信に適したベースバンド変換方法について検討する。 3. 復号方法とベースバンド変換方法を協調動作させて低消費電力かつ確実に動作する受信機構成方法:初年度は復号方法とベースバンド変換方法を協調動作させて、全体で低消費電力化する基礎的検討を行った。緊急警報放送の待機受信において、実装依存部分を極力排除してより公平な評価を行うために、シミュレーションによる評価を主に総合的特性を検討する。 次年度は、初年度の解析的評価に加えてシミュレーション評価を行う。また、1.と2.のそれぞれにて基礎的な検討が終わっているものについては、シミュレーションやハードウェアによる評価を目指す。さらに、得られた成果を電子情報通信学会などの研究会や論文誌、および、IEEE国際会議に投稿する。
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Causes of Carryover |
初年度においては解析的評価を中心に行ったため、計画時におけるハードウェア評価は想定よりも少なく、研究費に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、初年度に実施できなかった技術や当初計画していた技術の実装や評価を行い、また、初年度に得られた成果を研究会等で発表するため、初年度の残額と次年度の研究費を合わせて利用する予定である。
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Research Products
(10 results)