2016 Fiscal Year Research-status Report
通信制約のある複雑環境下で協調行動を自動生成する分散型適応学習システムの構築
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26420433
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
宮里 義彦 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30174155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御理論 / 適応学習制御 / 非線形制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間と機械の調和を目的とする自動制御の最終目標は,制御系の自動設計と自動調整機能を有する適応制御とされているが,これまで十分な研究成果は得られていない.本研究では適応学習制御方式への要請を考慮して,大規模で複雑な構造を有する多体系に対して,特に相互の通信制約を考慮しつつ,部分的な情報のみを用いる分散型のフィードバック制御でシステム全体を統合化して,協調行動を実現する適応学習制御手法の基本原理を構築することを目的とする.これにより適応学習制御,制御理論,知的制御の従来の枠を拡張するだけでなく,大規模で複雑な多体系の協調行動の実現という観点を通して,関連する分野(システム科学,情報科学,制御工学)を統合する新たな研究分野の創成とその理論体系の整備も視野に含めている. 今年度も力学系を構成要素として含む大規模系(多体系)に対して,ネットワークグラフを用いて表される相互の通信制約を考慮して,特定の物体に対して自立的に合意形成制御を実現する非線形適応H∞制御方式の構築を行った.システムパラメータや適応機構の不確定性,および相互情報の不完全な伝達などを,非線形H∞制御問題の外乱として定式化し,適応制御と非線形制御により安定性を確保しつつ,制御システム全体の性能を厳密に指定できる設計論の開発を行った. 特に無向グラフ上で追従すべきリーダーの生成モデルを利用して漸近安定性が達成される合意形成制御方式を開発し,それを研究成果としてまとめた。さらに有向グラフ上で未知の非線形特性が存在する場合や特定の非線形機械系(Euler-Lagrange系)に対して合意形成制御方式を開発しその結果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定の線形系に対する合意形成制御から本研究テーマを開始し,その後,内部状態に時間遅れのある場合や非線形特性に対する処理の考察,漸近安定性を達成する合意形成制御などへと,対象についても制御手法についても範囲を広げるだけでなく,さらに通信構造が無向グラフだけでなく有向グラフで規定される場合の設計法についても基本的な結果を得て,それぞれについて新たな制御方式を開発している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に様々な対象についてフォーメーション制御やコンセンサス制御に代表されるマルチエージェントシステムの制御方式を開発しその動作を解析するとともに,有向グラフ上の合意形成制御方式の拡張,無限次元系や一般線形系,離散事象システムなどについても考察の対象を広げて,同様の調和行動実現のための制御原理を構築する研究を継続する.
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Causes of Carryover |
海外出張において安価な航空券の利用に努めた結果、出張旅費が軽減されたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の出張旅費(国内外)や論文掲載費用として支出予定である
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