2015 Fiscal Year Research-status Report
クリンカー骨材コンクリートの自己治癒性に関する研究
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26420435
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
丸岡 正知 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩己 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30323314)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クリンカー細骨材 / 自己治癒 / モルタル / コンクリート / 中性化 / 圧縮強度 / 静弾性係数 / 乾燥収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
セメントクリンカーを破砕し,コンクリート用細骨材の粒度に合わせた状態で,モルタルおよびコンクリートを製造し,物理性状を中心とした基本物性について検討した.本年度は,普通セメント用クリンカーに加え,クリンカーの原料として従来の約2倍に相当する産業廃棄物を使用したビーライト・ゲーレナイト系クリンカー(GCL)についても検討した. モルタルのフレッシュ性状では,普通細骨材に対するGCL細骨材を25%置換すると流動性は向上するが,100%置換では流動性を失った.50および75%置換では高性能AE減水剤添加量を増加しても無置換よりわずかに流動性が低下した. 硬化特性では,GCL置換率の増加に伴い圧縮強度は増加した.これは置換したGCL細骨材が堅固であること,反応性を有する骨材の表面で遷移帯の改善があったこと,反応性微粉の増加により実質の水セメント比が小さくなったことが原因と考えられる. CGL置換により乾燥収縮ひずみは小さくなった.これは圧縮強度の場合と同様のことに加えGCL細骨材の弾性係数が大きいためと考えられる.促進中性化試験結果では,促進試験材齢26週において100%置換ではほぼ0mm,50%置換でも3mm程度となり,無置換の場合の約13mmと比較して中性化抑制効果が高い.また,ひび割れを通過する水量の変化により自己治癒性を評価した結果,3ヶ月の治癒養生期間を経過すると,ひび割れを設けた直後の通過水量に対して概ね15%程度まで減少することが明らかとなり,自己治癒性を有すると考えられる.また,コンクリートとして検討した結果,モルタルの場合と同様に,GCL細骨材の普通細骨材に対する置換率の増大に伴い,圧縮強度および静弾性係数の増加,および置換率25%において無置換のコンクリートの半分程度の乾燥収縮ひずみとなった. 従って,各種性状に対し,GCL置換率には適切な値があると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主たる材料として使用しているクリンカー骨材の製造元である,共同研究先の要望も有り,クリンカーの種類を普通セメント用だけで無く,産業廃棄物を約2倍含む原料により製造したビーライト.ゲーレナイト系ククリンカーを使用した場合の物性について追加検討することとなった. その結果,普通セメント用クリンカーを使用した場合と異なる知見が得られた.この試験結果を元に特許出願を行うこととなったため,これに伴う追加試験データの収集を優先したことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
試験計画において,現状で積み残しとなっているクリンカー細骨材の粒子径状改善方法とその効果,自己治癒性の非破壊試験による評価,小型構造部材によるクリンカー細骨材利用の効果を中心に検討を行う. また,ひび割れからの漏水量変化による自己治癒性の評価において未だ完全に漏水は停止しないため,別途材料を探査・組合せ,自己治癒性を向上させる技術について検討する. 環境条件による自己治癒性の違いについて検討を行う. また,自己治癒の機構について,詳細な検討を行う.
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