2017 Fiscal Year Research-status Report
クリンカー骨材コンクリートの自己治癒性に関する研究
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26420435
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
丸岡 正知 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (50323316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩己 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 教授 (30323314)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ビーライト・ゲーレナイト系クリンカー / クリンカー骨材 / 自己治癒性 / コンクリート二次製品 / 促進中性化 / 凍結融解抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
目標とするフレッシュ性状を満たすために必要とする混和剤量はモルタルの場合ではビーライト・ゲーレナイト系クリンカー(GCL)の置換率に伴い変化した。コンクリートの場合では、配合による差は認められなかった。しかし、モルタルの場合でもGCL中の微粒分(0.15mm以下)を結合材として考えると,置換率50%以上において置換率の影響は認められなかった. GCLの置換率が増大すると圧縮強度は増加傾向を示した。乾燥収縮についてはGCL置換率が増大すると乾燥収縮は抑えられる傾向がみられた。また,モルタルにおいて養生温度が高いと圧縮強度は大きくなる傾向が見られた。一方、コンクリートにおいてGCLの置換率が25%のときに最も良い硬化性状を示した。中性化深さはGCLを混和することで小さくなる傾向がみられた。また、凍結融解抵抗性についてはすべての配合において300サイクルで90%以上となりGCLの影響は認められなかった。以上から,硬化性状に対しては,GCLの形状、硬さ、水硬性、アルカリ供給能力が大きな要因となることが分かった。 自己治癒性能を評価するために既往の研究と同様に通水試験を行ったが、未水和セメントの影響が大きくGCLの自己治癒性能を評価するまでには至らなかったため,新たな自己治癒性能評価方法を検討した結果、GCLは自己治癒性能があると判断した。また、凍結融解作用によりダメージを受けた供試体は水中で修復養生を行うことで治癒することが確認できた。また,市中のコンクリート製品製造工場にて実機製造ラインでの製品の試作を行い、同工場にて普通に製造されている製品と比較した結果、GCLを混和することで製品の品質規格から外れるようなことはなかった。また、RCはり部材によるひび割れ発生挙動を確認したところ,GCL混和の影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クリンカー骨材を使用したモルタルおよびコンクリートのフレッシュおよび硬化性状については当初予定に従い概ね情報を得ることができた.耐久性面についても概ね情報が得られたが,自己治癒性能の方法の構築に難があり,時間を必要とした.現状での評価はまだ十分とはいえず,この点を改善する必要がある. 製品製造に適用するために今年度は小型の部材の作製・製造を試みたが,今後はさらに大きな部材について試製造を実施予定である. 小型RCはり部材において,載荷荷重を漸増させて,ひび割れ発生状況を把握することができたが,スケジュールに難があり,十分な検討ができたとはいえなかったため,この点も改めてデータを採取する. 新たに,製品工場での製造時に,蒸気養生による給熱工程を経たコンクリートにおいて,圧縮強度が大幅に高まることを把握した.この原因および他の用途への適用性について検討を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
実際にクリンカー骨材をコンクリート二次製品工場で使用する際に考えられる事項について,具体的に検討する.例えば,クリンカーを野積みした場合,その後の諸性状への影響などについて,数条件を採り上げて検討する. ボックスカルバートなどの比較的大型の部材において,実機設備を利用した製品製造および製品の品質を把握する. 自己治癒性の評価方法について再検討し,適切な評価方法を提案する. 給熱養生における強度発現性向上の原因について検討し,実製造時の適用範囲拡大の一資料をえる.
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Causes of Carryover |
小額であるため,無理に使い切らず最終年度に合算して有効活用すべきと判断したため.平成30年度実施分における研究用消耗品の購入に充当する.
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