2015 Fiscal Year Research-status Report
リサイクルできる石灰石・フライアッシュコンクリート舗装の耐久性と環境負荷の評価
Project/Area Number |
26420437
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉武 勇 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (10335771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンクリート舗装 / リサイクル / セメント / 石灰石 / フライアッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のセメント産業のCO2排出量は,国内の全CO2排出量の約4%を占めており,その排出量の削減は重要な課題となっている.このことから環境負荷低減および産業副産物の有効利用の観点から,フライアッシュ(FA)をセメント代替材として有効活用する意義は大きい. FAを大量使用できる構造物のひとつにコンクリート舗装がある.特に近年では,アスファルト舗装と比較して耐久性の高くライフサイクルコストに優れるコンクリート舗装の機運が高くなっている. 本研究では,次世代のセメント原料としてリサイクル可能なFA舗装コンクリートの開発を目的とする.特に平成27年度の研究では,FAをできるだけ大量に使用するため,FAをセメント質量に対して40%置換し,スランプ6.5cmの施工性に優れたリサイカブルFA舗装コンクリートを研究対象とした.スランプは運搬時間を考慮し,練り上がり30分後にスランプ6.5cmとなるよう検討した配合を用いた.本論文では研究対象のコンクリート(SL6.5)の曲げ強度,摩耗特性およびリサイクル性を検討し,既往の研究のスランプ2.5cmのリサイカブル舗装コンクリート(SL2.5)と比較を行った. そして,このFA舗装コンクリート(SL6.5)を用いて,一般的なクリンカーの鉱物組成となるよう鉱物組成を計算し,クリンカーを作製し,石こうと粉砕助剤を添加してボールミルによって粉砕することにより,リサイクルセメントを作製した.JIS R 5202に準拠して,強熱減量の測定およびClに関しては湿式分析,それ以外の化学分析に関しては蛍光X線分析によって測定を行った.さらにJIS R 5201に準拠した物理試験を行った.このリサイクルセメントは,SL2.5と同様に普通ポルトランドセメントのJIS規格値を充分に満足したことから,次世代のセメントの原料にリサイクルできることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階で考えていた舗装コンクリートのフレッシュ性状では,実施工を行うにあたり,施工性が充分ではないという考えに至り,これまでの低スランプコンクリートに加え,アジテータ車でも運搬可能で,施工が容易となるスランプのコンクリートまで研究対象とした.このコンクリートにおいても,前年同様の研究を進め,概ね順調な研究成果をおさめることができ,幾つかの研究論文も発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
セメント原料としてリサイクルできる舗装コンクリートのバリエーションを拡げていくため,透水性機能を付加したコンクリート舗装も検討していく.さらにこれらのリサイカブルコンクリート舗装の実施工に関するデータを拡充し,その実用化を図っていく必要があると考えている.特に実機プラントで試作した同コンクリートでは,空気量が過大になるケースもみられたため,実用的な配合設計法も検討していく必要があると考えている.また石灰石を用いたコンクリート舗装の懸念である耐摩耗性について,これまでの室内実験では,その影響は小さいことを確認しているが,さらに実験を拡充し,実用上においても問題がないことを確認していく必要がある.
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Causes of Carryover |
試験パラメータの一部変更・追加により委託試験の費用が当初計画の予算より異なった.物品費として計上していたものが減り,一方で研究成果が早くまとまったものがあり,これらを研究論文として発表したことで差異が生じたものである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究過程でデータ補充を図るべき実験を進めながら,本最終年度は主に研究成果をとりまとめて学会発表や論文発表に使用する計画である.
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