2015 Fiscal Year Research-status Report
ASRと鋼材腐食による複合劣化を生じたはり部材のせん断耐力評価手法の構築
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26420442
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
三方 康弘 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (60434784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ASR / 鋼材腐食 / 複合劣化 / 定着部の破断 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に作成したASRと鋼材腐食による複合劣化を生じたはり供試体と、比較検証用としてASR・鋼材腐食の単独の劣化を生じたはり供試体、および、付着試験用を含めた各種の物性試験用供試体を対象として、ひび割れ状況の記録を行うとともに、コンタクトチップや鉄筋ゲージから膨張量を把握した。また、一部の供試体に対して、載荷試験を実施し材齢1年の時点(加速期を想定)でのデータを収集した。 はり供試体の実験要因として、コンクリートの種類は健全、ASR、複合劣化の3種類を選定した。また、せん断補強筋の定着不良がせん断耐荷特性に及ぼす影響を検討するためにせん断補強筋の破断を想定した供試体を作製しており、せん断補強筋の破断無し、有りの2種類を選定した。これらの要因から合計6体のはり供試体の載荷試験を実施した。 その結果、ASR単独の劣化を生じたはり供試体は、健全なコンクリートを用いたはり供試体と比較して、せん断ひび割れ発生以降のコンクリート負担せん断力が急激に低下する挙動を示した。とくに、ASR単独の劣化を生じ、せん断補強筋の破断を模擬したはり供試体は、載荷によるひび割れがせん断補強筋の破断位置にも発生しており、脆性的な破壊に至った。また、複合劣化を生じたはり供試体は、せん断ひび割れが載荷点まで達しなかった。既存のASRによる水平ひび割れが拡大することにより、せん断スパン内のせん断応力を解放したものと考えられる。 付着供試体の実験要因として、複合劣化が鉄筋とコンクリートの付着特性に及ぼす影響や拘束筋の拘束効果が付着応力度-すべり関係に及ぼす影響を把握するために、はり供試体と同様の実験要因により各要因3体とし、合計18体の付着供試体の載荷試験を実施した。 その結果、拘束筋が破断を想定した場合には拘束効果が小さいことから、ケミカルプレストレスの影響が小さくなり、付着応力度が低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のとおり、劣化状況の経過観察および載荷試験を実施することが出来たため
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Strategy for Future Research Activity |
供試体の試験データを蓄積するとともに、ASRと鋼材腐食による複合劣化を生じたはり部材のせん断耐荷特性に及ぼす影響因子について評価する。さらに、ASRや鋼材腐食による複合劣化を生じたはり部材のせん断耐力評価手法を提案し、実験と解析の両面から検証する。
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Causes of Carryover |
コンクリートの面的なひずみを画像相関法による解析から算出することを計画し、画像相関法の解析ソフトの購入を検討したが、当該研究におけるひずみ計測が十分な精度で実施することが困難であることが判明したため、ソフトの購入を断念したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
画像相関法によるひずみ計測から、ひずみゲージによるひずみ計測に計測手法を変更することとし、データロガーを購入予定である。
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Research Products
(2 results)