2015 Fiscal Year Research-status Report
冗長性を含む耐震性能評価のためのRC構造物の崩壊シミュレーション手法の高度化
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26420474
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 佳士 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70532802)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RBSM / 有限回転 / 崩壊解析 / 冗長性 / 復旧性 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震動を受けて崩壊に至るコンクリート構造物の最大荷重以降の応答、いわゆるポストピーク挙動に関する詳細な情報を数値解析により精度良く再現できる技術の確立は、特に重要な土木・建築構造物の高度な安全性の評価において非常に重要である。本研究は、大地震動を受けるコンクリート構造部材ならびに構造システム全体の、崩壊に至るまでの巨視的な耐荷、変形性能および局所的な損傷進展過程、損傷領域を高精度・高解像度で評価できる解析手法の確立を目的としている。具体的には、研究代表者が提案している、コンクリートの変形・破壊の局所化現象を定量的に再現可能な、メゾスケール力学挙動に基づく構成モデルを適用した剛体バネモデル(以下、RBSM)を、大変位領域まで再現可能になるよう拡張する。加えて、地震動を受けて損傷した構造物の残存性能および補修、補強後の性能までも評価可能な数値解析システムを構築する。これにより、想定外作用に対する構造システム全体の安全性の余裕度、いわゆるリダンダンシー(冗長性)の評価および復旧性を評価可能な、数値解析を用いた高度な耐震性能評価手法の基礎を構築する。 当該年度は、まず、平成26年度において開発した大変位・有限回転を考慮したRBSMを、コンクリート材料に適用するとともに、その妥当性の検証を行った。さらに、鉄筋を表現するための梁要素およびRBSM要素と梁要素を結合し、鉄筋-コンクリート間の付着すべり特性を表現するリンク要素に対しても大変位・有限回転を考慮できるよう手法の拡張を行った。既往の実験結果との比較により、開発した解析手法はコンクリート材料および鉄筋コンクリート部材の破壊局所化挙動、鉄筋の座屈挙動等を良好に再現できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造システム全体の崩壊挙動を評価することを目的として、本年度から並列計算などの導入により数値解析の高速化を進める予定であったが、この点は十分検討できなかった。また、既往の実験との比較等により、補修・補強性能評価手法としての提案モデルの妥当性も十分検討できなかった。ただし、本研究の中心となる手法は既に開発済みであり、上記の計画の遅れは平成28年度に十分修復可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、補修・補強性能評価手法としての提案手法の妥当性を検証する。具体的には、開発した手法を用いて、損傷履歴を有しかつ補修・補強が施された鉄筋・コンクリート部材の実験を対象に解析を行い、提案手法の妥当性を検証する。さらに、開発手法を用いてRC構造物の耐震性能評価に関するケーススタディーを行う。特に、阪神大震災で倒壊したピルツ橋あるいは不静定次数が高い新幹線のラーメン高架橋のような構造システムを対象とする。開発手法を用いて、設計作用を超えるレベルの作用が生じた場合の応答評価を行い、リダンダンシー評価の可能性および被災構造物の補修および補強後の性能評価に基づく復旧性評価の可能性について検討を行う。ここでは、計算を効率的に行うために、並列計算等の計算高速化手法の適用を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
数値計算手法の微修正により計算負荷を効率化することができ、本年度実施した検討の範囲では、当初予定して計算機の購入が必要なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後行う検討では、より大規模な計算が必要となり、そのための計算機購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)