2017 Fiscal Year Research-status Report
波浪スペクトルの海洋レーダによる推定とモデル推算に関する研究
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26420504
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久木 幸治 琉球大学, 理学部, 教授 (60305183)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋レーダ / 波浪スペクトル / 波浪推算 / 波高 / 周期 / 海上風 / 一次散乱 / 時間補間 |
Outline of Annual Research Achievements |
短波海洋レーダは,海面に短波帯の電波を照射し,散乱された電波のドップラースペクトルを求めることによって,海洋表層の流れや波浪を観測する装置である。一般に海洋レーダを用いて波浪を観測するのには,二次散乱を使用する。そこで2016年度までは主にこの二次散乱を使用した波浪スペクトル推定手法の開発を行ってきた。実際には再解析風データから波浪推算が可能である。二次散乱を使用した波浪スペクトル推定手法の開発に引き続き,二次散乱を用いず,一次散乱のみで海上風ベクトルを再解析風データから補正する手法を開発し,波浪推算を行った。またその波浪推算の結果を超音波波浪計による観測データと比較した。その結果,波浪推算の精度が向上することが確認できた。2017年度はこの成果を論文としては発表した。また風データを時間補間する手法を2016年度までに開発した。この手法は格子点ごとに時系列データを時間補間する手法とは異なる。この手法では低気圧などが移動し,かつ複数個低気圧が同時に存在する場合でも,それらの低気圧の移動を正しく再現することが可能である。その補間手法の開発に引き続き,2017年度は,この手法で時間補間された海上風データを波浪推算に適用した。その波浪推算値を係留ブイによる波高・周期データ及び漂流ブイに波高データと比較し,精度の評価を行った。この波浪推算は2年分について行われた。この比較の結果,従来の手法に比べて,新しく開発された時間補間手法によって,波浪推算の精度が向上することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋レーダから求めた風向を活用して,再解析データを補正し,波浪推算の精度を向上させるという考えは全く新しいものである。従来の二次散乱から波浪を推定する手法よりはるかに簡便である。或いは風によって海の流れを駆動するモデルに同化することによって,再解析データを補正する手法に比べてもはるかに簡便である。この結果は,Journal of Atmospheric and Oceanic Technology誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
未発表の成果をまとめ,論文として発表する。
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Causes of Carryover |
年度内に全ての成果を論文にまとめられなかったためである。主として次年度の英文校閲費、論文掲載費に使用する。
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Research Products
(6 results)