2014 Fiscal Year Research-status Report
粗度の多重スケール性と非平衡粗面抵抗則に基づく礫床河川の流れの解析法の開発と応用
Project/Area Number |
26420505
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
内田 龍彦 中央大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00379900)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非平衡粗面抵抗則 / 底面流速解析法 / 非静水圧分布 / 水深積分モデル / 渦層 / 粗度層 / 多重スケール性 / 境界層 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きなスケールの流れの解析が可能な平面二次元解析法の枠組みの中で,局所三次元流場を解析するために,本研究では,河床近傍の流れの非平衡性を考慮した一般底面流速解析法(BVC-DWL法)を検討した.粗度の多重スケール性を考慮するために,流れの解析領域を,大きな粗度の影響を解析する主計算領域,河床表面の薄い渦層,粗度表面の抵抗を支配する粗度層及びその下の浸透層に分けた. 流れの非平衡性は,相対粗度ks/hが小さくなるほど渦層で強く,粗度層で弱くなることを明らかにした.本解析法は,開水路粗面上の加速する流れについて,底面近傍の大きな流速分布領域などを再現するのに課題を残すが,減速する流れについては実験の流速分布をよく再現でき,緩やかな加速,減速流などの非平衡性の弱い流れにおいては,浅水流の仮定と渦層以下の流れの非平衡性の影響は解析に現れないことが確認された.橋脚周りの局所流解析において,平衡粗面抵抗則を用いた一般底面流速解析法(BVC-EWL法)は,橋脚前面の馬蹄形渦による逆流域を厚く計算し,河床に近づくほど逆流の強さが強くなる底面近傍の流れを計算できないが,非平衡粗面抵抗則を用いたBVC-DWL法では,薄く発達する逆流域と河床近傍の強い非平衡流れの実験の特徴を再現できることを明らかにした.このことから,橋脚周りの局所洗掘解析における河床砂に作用する流体力の評価には非平衡粗面抵抗則が必要である.現地礫床河川の水衝部の局所流解析では,BVC-EWL法で課題であった弱い二次流,主流速分布の小さい変形は,BVC-DWL法を導入することによって改善された.さらに,BVC-DWL法による粗度層内の流速分布の解析結果がBVC-EWL法に比べて大きく異なり,礫床河川における局所流や河床流速の解析には三次元的な流速場の評価と同様に非平衡粗面抵抗則の導入が必要であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本論文は,大きなスケールの流れの解析が可能な平面二次元解析法の枠組みの中で,局所三次元流場を解析する国内外に例のない非平衡粗面抵抗則(Dynamic rough Wall Law: DWL)を用いた非静水圧準三次元解析法を開発した.構成する方程式の各項のオーダー比較や種々の流れへの適用を通して,本解析法の有効性と妥当性を示すとともに,構成する方程式がどのような流れ場で,どのような水理量の解析で重要となるのかについて水理実験や現地観測との比較により明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
流れの加速,減速,曲りを伴う湾曲流路や水没する大型粗度群を有する流れ等において,一般底面流速解析法と非平衡粗面抵抗則の適用性を詳しく検討し,前年度に明らかとなった加速流れにおける解析法の課題についての解決法を底面境界条件から検討する.また,実河川に本解析法を適用するため,一般座標系における解析法を検討する.この際,どのような流れ場においてどのような解析が必要となるのかについても検討する. 次に,上述の研究成果を応用し,非平衡粗面抵抗則を用いた局所洗掘解析法と洪水時の河床変動解析法を検討する.
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果を論文にまとめ,投稿したが,掲載が2015年度となった.また,2014年度の研究成果を発表する投稿料や旅費が2015年度に必要となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
投稿した論文の投稿料,発表予定の学会への参加料,旅費など
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