2014 Fiscal Year Research-status Report
寒冷地における土壌中の熱・水分移動および凍結量解析モデルの構築
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26420507
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
高野 保英 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80330231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不凍水曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の土壌の不凍水曲線を求めるために,山形珪砂を使用して土壌凍結・融解実験を行い,これまでの実験で使用した豊浦珪砂の不凍水曲線(氷点下温度と体積含水率の関係)との比較を試みた.土壌カラムに所定の体積含水率(初期体積含水率)に設定した山形珪砂を詰め,低温水槽およびクーラーボックスを用いてカラムごと冷却・加熱し,連続的にカラム内の温度をサーミスタにより,体積含水率をTDRセンサーにより計測した.初期体積含水率を0.15から0.27までの4ケースとした.計測結果を基に,土壌温度と体積含水率の関係を調べ,不凍水曲線を得る. その結果,山形珪砂の不凍曲線は豊浦珪砂のそれと同様に,初期体積含水率の違いに関わらず,カラム内温度が-1℃以下ではではほぼ同じ分布形状を示すが,それ以上では形状が異なり,0℃付近で概ね初期体積含水率の値に近づくことが確認された.ただし山形珪砂と豊浦珪砂の不凍水曲線を比較すると,-1℃から0℃の範囲で分布形状に大きな違いが観られた. これらの結果について,研究協力者のカルガリー大学M. Hyashi教授と検討した結果,分布形状の違いの原因としては,土壌の粒径成分,実験に使用した水の化学的組成(塩類などの濃度),体積含水率の算定方法などが挙げられ,これらの点について改善を検討すべきとの結論を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の年度計画において,数種類の土壌を用いて実験を実施することとなっていたが,現状では山形珪砂および豊浦珪砂の2種類に留まっている.また,熱・水分移動モデルに組み込む予定の豊浦珪砂の凍結・融解量予測式の構築には至っていない. また当初の年度計画において挙げていた,土壌の熱伝導率などの熱・水分パラメータの測定の実施も途中段階にある.
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Strategy for Future Research Activity |
凍結土壌中の熱・水分移動モデル構築を図るため,他の熱・水分物性がよく知られている豊浦珪砂を用い,初期の体積含水率の異なる場合の不凍水曲線同定の実験を重点的に実施する.土壌水に含まれる物質量や体積含水率の算定方法を再検討しつつ,体積含水率の異なる豊浦珪砂の凍結・融解実験を行い,これまで得られたデータとともに解析し,凍結量・融解量算定式を求める. また他の土壌,特に現地土壌を用いた凍結・融解実験および熱伝導率測定実験を行い,熱・水分移動モデル構築に必要となる不凍水曲線および水分量と熱伝導率の関係の同定を試みる.さらに,凍結過程を受ける不飽和土壌中の熱・水分移動解析モデルのコードの作成を引き続き続ける.
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Causes of Carryover |
不凍水曲線の計測を円滑に進めることを目的として,物品の購入計画を変更し,土壌水分測定のためのTDRセンサーに関する物品を購入し,また土壌の熱物性値を求めるための実験の準備が途中段階で終了したため,当初計画で挙げていた熱流板などの購入に至らなかった.その結果,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
設備備品として地中熱流板などの熱物性値を求めるための実験装置を購入するとともに,各種土壌などの消耗品を購入する.
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