2014 Fiscal Year Research-status Report
無曝気で有機物・窒素除去と発電が可能な微生物燃料電池型廃水処理法の開発
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26420528
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡邉 智秀 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60251120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 恵一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50707510)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物燃料電池 / 廃水処理 / 硝化脱窒 / エアカソード / バイオリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
1.硝化汚泥培養槽へ浸漬することにより予め硝化細菌生物膜を形成させたエアカソードと予め馴致して電気産生微生物を含む生物膜が形成され安定的に出力が得られる状態にしたアノードを組み合わせた一槽式MFC(NB系)を種々の操作条件において回分実験した。NB系におけるTN除去速度は最大で約3g-N/(m2・d)に達し、アンモニア性窒素と有機物が共存する期間では、硝化で生じた硝酸イオンが残留することなく脱窒されることが明らかとなった。対照系では、操作を繰り返しても実質的な生物学的硝化は生じず、予め硝化細菌生物膜を形成させることの有効性が実証された。系内での硝化速度は、エアカソードの酸素透過フラックスやアンモニア窒素濃度に強く依存した。また、対照系との比較から、エアカソード近傍での硝化の進行は電気的出力の向上に寄与することおよびエアカソードから透過した酸素が硝化に利用されることが電荷収率の向上に寄与することがわかった。なお、本系における硝化は、数か月経過後でも主としてエアカソード上の生物膜内で進行しており、微生物群集解析からNitrosomonas属やアンモニア酸化細菌およびNitrospira属の亜硝酸酸化細菌が高く検出された。 2.フェルト状カーボンと粒状炭素をそれぞれ電極材に用いた脱窒バイオカソードを試作して、アノード槽とプロトン交換膜で隔てた二槽式MFCとして連続運転したところ、いずれの系においてもカソード槽における硝酸イオンの減少に加え、電気的出力が得られ、窒素収支からカソード槽において硝酸イオンが電子受容体として脱窒が進行していることがわかった。また、カソード槽への流入硝酸イオン濃度や滞留時間に除去率が依存した。なお、粒状炭素充填層をカソードとした系は、フェルト状カーボンに比べて性能が高く、後者では深部が有効に作用していない可能性があり、その改善の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために研究実施計画に記した硝化細菌生物膜が形成されたカソードを用いたMFCの試作、その基本特性の把握および脱窒バイオカソードの試作とそれを用いた二槽式MFCによる基本特性の把握の各項目に関し、準備と実験が進められている。その結果として、まずは、試作した硝化細菌生物膜が形成されたエアカソードや脱窒能バイオカソードにおいて、それぞれに想定された機能を発揮することが実証されるとともに、研究実績の項で記したような基本特性に関わる種々の実験結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように概ね順調に進展していることから、当初の研究実施計画に沿って研究を遂行する予定である。なお、一部の実験装置は実験を継続し、長期的安定性等に関わる知見を収集する予定である。
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