2015 Fiscal Year Research-status Report
膜細孔内吸着物質の直接測定に基づくMBR用膜素材と親水化コーティング処理の評価
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26420535
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
長岡 裕 東京都市大学, 工学部, 教授 (90207986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜分離活性汚泥法 / ファウリング / MPCポリマー / PEGポリマー / 平膜モジュール / PVDF |
Outline of Annual Research Achievements |
MPCポリマーとPEGポリマーをそれぞれPVDF膜に加工し,浸漬型MBRにより長期運転を行い、ポリマー未加工の膜のろ過性能と比較することによりポリマー加工によるファウリング抑制効果について検討した. 膜モジュールは,縦300 mm横170 mm厚さ8 mmであり、ポリマー加工は,加工液に膜全体を浸漬させることにより行った.加工は2回行っており,1回目の加工時間は42時間であり,膜を容器に入れ蓋をした状態で空気中に一晩放置した後,運転を開始した.再加工の加工時間は90時間であり,水道水に一日浸漬させた後,運転を開始した. 汚泥反応漕にはMPCポリマー加工膜,PEGポリマー加工膜,未加工膜を各2枚浸漬させ、フラックスは0.23 m3/(m2・day)~0.28 m3/(m2・day)で変化させた.曝気は,9本の散気管から合計54 L/minで送風されるように設定した. ポリマー加工膜のファウリング抑制効果を確認するために,膜洗浄後に運転を開始してから次に膜洗浄を行うまでの運転日数に,フラックスの平均を乗じた値である、ろ過距離を用いて評価した結果、再加工前後の全期間の平均値では、MPC加工膜,PEG加工膜ともに再加工前は未加工膜とあまり差がなかったが,MPC加工膜は再加工によってろ過距離が長くなり,ファウリング抑制効果がみられた. また、汚泥粘度が高いほどポリマー加工の効果が大きくなる結果が示され、ファウリング物質の濃度が高いときにポリマー加工によるファウリング物質の吸着を抑える効果が顕著に表れたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際にポリマー加工の有無の膜を用いて室内実験を行い、ポリマー加工の効果を確認することができた。ポリマー加工の効果は、ファウリング物質の膜への吸着を抑制し、膜透過側に流出させることによって発現するというメカニズムもおおむね明らかになった。 また、ファウリング物質の吸着抑制効果と汚泥の粘性係数との関係もおおむね明らかになり、ファウリング物質が混合液内に高濃度に蓄積している系で、ファウリング抑制効果も大きくなると推定される実験結果もえられている。 また、ポリマーコーティングの効果をより高くするためにコーティング手法についてもノウハウを蓄積しつつあり、実際の系においてポリマーコーティングを行う実践的手法の提案についても、準備ができつつある。 しかしながら、ポリマーコーティングのファウリング抑制効果については、定性的な知見が得られているのみで、ファウリング物質の吸着抑制をより定量的に評価する手法の開発と実験結果の蓄積が必要であり、これらは今年度の実験によって実証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、汚泥条件を制御しながらファウリング抑制効果を定量的に評価するよう実験系を組み、さらにデータの蓄積を行う。具体的には、MLSS濃度、汚泥粘性係数を制御しながら、ファウリング進行(膜間差圧の上昇)、コーティングによる膜の親水化の定量評価と実験継続に伴う親水度の低下速度の測定、膜ファウリングモデルを用いることによる、コーティング効果の定量的評価を行う予定である。 当初の予定では、PTFE,PESなどのPVDF以外の膜を用いてコーティング効果を調査することになっていたが、PVDF膜に対するファウリング抑制効果の定量評価に課題が残っているため、PVDF膜のみを用いて、コーティングによるファウリング抑制効果について定量評価を行うものとする。 また、ファウリングした膜のFTIRおよびXRFによる分析手法をすでに確立しているので、長期のMBR実験後の膜を切り出して、これらの分析手法により、ファウリング物質の吸着抑制がどの程度なされているかの定量評価も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
実験実施のための消耗品を購入する予定であったが、実験計画に変更があり、購入の必要性がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験実施のための消耗品(試薬類、ガラス器具類)として使用する予定である。
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