2014 Fiscal Year Research-status Report
被災コミュニティの再定住政策と計画決定過程の研究:アチェ・中部ジャワ地域事例研究
Project/Area Number |
26420597
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (00636467)
松丸 亮 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (40708377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 復興プロセス / 移転・再建計画 / インドネシア / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年の度重なる大災害により防災制度の充実がめざましいインドネシア国を対象とし、移転を含む再建政策と計画決定過程を調査・分析することで、住民の計画参加状況が再建の判断に与える影響、ならびに、減災に関する諸制度の充実が計画決定過程に与える影響を明らかにする。研究を通じ、被災コミュニティの再建政策と計画手順のあり方を示し、また、充実した防災制度を有する日本との比較を行うことで、国際的な再建制度と計画の体系化を試みる。
本年度は、まず、インドネシアの国家とアチェ、ジョグジャカルタ地域を対象に、防災制度・仕組み、移転制度・土地利用、住宅、コミュニティ開発に関係する既往文献や資料の調査、整理・分析を行い、復興制度の拡充と利用についての変遷をとりまとめ、被災コミュニティの再建政策と決定過程の分析枠組みを検討した。さらに、アチェとジョグジャカルタ地域では、減災にかかる諸制度の利用状況と移転実態について調査した。
これらの結果、まず、国家レベルでは2007年を境に防災関連の法・制度・プログラムが充実し(災害管理法(No. 24/2007)、REKOMPAK他)緊急対応から防災への意識が転換したこと、さらに減災を目指した空間構築のために空間計画法の改定(No. 26/2007)や住宅と移転地区に関わる法律(No. 1/2011)の成立があったことが明らかになった。次に、アチェ、ジョグジャカルタ地域の移転を含む再建については、現地踏査やコミュニティへの予備インタビューから、コミュニティに生活再建プログラム活用の選択の自由を与えるなどの主導権を渡すことが、スムーズな再定住の計画・実施に繋がる傾向にあることが明らかとなった。但し、地方行政や地域コミュニティの自治機能の強弱により、生活再建に関わるプログラムの機能の度合いが異なることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシア国やアチェ・ジョグジャカルタ地域の防災制度、移転制度・土地利用、コミュニティ開発プログラムの拡充について既往研究をレビューし、それに基づいた研究分析枠組みを策定した。また、日本との比較を行うために、我が国の防災制度・仕組み、移転計画などの充実と進展についても、東日本大震災の経験に即して整理している。インドネシア関する論文は現在執筆中であり、日本の移転に関わる制度と現状のレビューは、図書(章)で発表した。現地における調査もアチェ・ジョグジャカルタ地域で2度実施しており、その現状について口頭発表も行っており、ほぼ予定通りに研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
先ず、前年度に収集し、整理・分析した防災制度・仕組み、移転計画と実施状況を災害後の移転・再建フレームワークと計画的過程のマクロ把握として、論文にとりまとめる。その後、構築した研究分析枠組みに沿って、アチェ・ジョグジャカルタ地域の再定住プロセスの詳細把握を、実態調査・インタビュー調査により進める。最後に、両地域で収集した情報を、コーディングシステムを開発の上、データ化し、内容分析を行う。なお、時間の経緯と生活再建プログラム利用の充実を配慮すると、アチェよりもジョグジャカルタにおける移転の事例が計画過程との密接性が高いことが明らかとなった。したがって、詳細把握は、ジョグジャカルタ地域の移転コミュニティの比重を高くする。
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Causes of Carryover |
当初、国内での学会発表を計画していたが、国際的にも影響力のある国連防災世界会議が平成26年度に仙台で行われたことに伴って、研究成果の発表を本校の所在地である仙台で行うことにした。したがって発表に要する費用が予定よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に、国内に加え、国際的に影響力のある学会での発表を行う予定であるので、本年度の残額は、成果発表のための旅費・その他(英文校正)に充てる計画である。
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Research Products
(4 results)