2014 Fiscal Year Research-status Report
洪水常襲地帯における水防建築の空間的設えと生活様式のあり方に関する研究
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26420620
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
畔柳 昭雄 日本大学, 理工学部, 教授 (90147687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 塑太郎 日本大学, 理工学部, 准教授 (80449321)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 洪水常襲地帯 / 水防建築 / 減勢治水 / 水屋 / 水塚 / 流域 / 減災 / 形態特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
洪水常襲地帯では、伝統的技術として輪中堤や水屋・水塚等の水防建築の構築と共に被災に対応した生活が営まれ、これらを含めて被災文化が築かれてきた。しかし、こうした地域においても近代化や都市化及び治水整備の進展により水防建築は消滅的状況に置かれており、今後、モノとしての<水防建築>、コトとしての<生活習慣・意識>を如何に継承してゆくかが課題と言える。そのため、洪水常襲地帯における水防建築の空間的設えと生活様式のあり方の考究が課題と認識し、①水環境の変動に対応した地域的・建築的空間特性の把握、②生活様式や地域社会における水環境との関係性の把握、③消えゆく地域的・建築的空間の継承方策の検討が必要と考えた。 本年度は、事前調査(調査Ⅰ)として国外では中国安徽省黄山市宏村(世界文化遺産登録)の現地踏査を行い、長らく洪水に曝されてきた集落が洪水を回避するための大掛かりな治水事業の実施すると共に、風水思想に基づき村の空間構成を再構築し、水路や湖を開削してきた状況を捉えた。また、国内においては、洪水常襲地帯と呼ばれてきた河川を対象に水防建築の立地状況の把握を行い、従来まで見出されてこなかった26都府県の31流域において河川伝統技術としての輪中や水屋、水塚などの水防建築の所在及び建築構法を確認し、併せて河川流路の特徴及び地域固有の減勢治水対策を見出すことができた。しかしながら、治水整備の普及や都市化、生活の近代化などにより水防建築は原型を大きく改変したり、改築や解体などが進むことで消滅傾向著しい状況を合わせて確認することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査Ⅰでは収集整理した資料等により調査対象を捉え直すことにより、全国31流域から新たな水防建築を見出すことができた。一方、調査を予定していた地域から水防建築が解体され、消滅している現状もわかり、こうした地域では、古い資料等から地域に存在した水防建築の記述を読み解く必要があり、①資料整理、②住民へのヒアリング、③写真や図面の所在確認などを行う必要があり、予定していた調査が若干遅れることとなった。 また、研究分担者の転出による研究遂行の遅延が生じた。国外においては、研究協力者との協議により、当初予定していた調査対象地を変更したため、若干の遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は調査Ⅰの達成途中の調査を完了すると共に調査Ⅱの実施を予定しており、水防建築の立地分布や集落・地区との関係性から、①水環境の変動に対応した地域的・建築的空間の把握と動的(操作:可変性・可動性)特性、②生活様式や地域社会における水環境との関係性の形成過程に関する調査を展開する。地域的・建築的な動的特性の発生や生活面での相互扶助や規範意識の生み出される自然地理的な要因・要素を捉える。また、国外の調査地は、雨季の降水量により周辺状況が変動するため、調査時期変更や乾季雨季の二度の踏査が要される場合も想定する。現地踏査は、現地の研究協力者と協議の上、予定した場所か、あるいは他の場所を選定して現地において対象建築物の実測調査(集落空間や水防建築は形態・空間構成等標本採取)、水環境に対する住民の習慣・意識及び行動観察等を実施する。
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Causes of Carryover |
2014年度中に実施計画していた現地調査は、調査対象地における対象物件の消滅などにより調査を縮小した。また、国外における現地調査は研究協力者との協議により調査場所を再検討したため、調査を予定していた場所を変更した。また、研究途中で分担者の転出が余儀なくなることで、当初予定していた調査を延期する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度に予定し実施できなかった現地調査を実測調査からヒアリングや資料収集調査に変更することで、関連資料の収集を行い、全容を捉える。また、国外においては研究協力者との協議を行うことで新たな調査現場を複数見出すことができたため、予定していた調査を本年度実施することで、2014年度の助成金と2015年予定の助成金を使用することとする。
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Research Products
(3 results)