2016 Fiscal Year Research-status Report
トスカーナ・リグーリアの歴史的海洋小都市と後背地域・海域の形成に関する研究
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26420641
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
野口 昌夫 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (90218305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市史 / イタリア都市形成史 / 海洋都市 / リグーリア州 |
Outline of Annual Research Achievements |
リグーリア州西部の歴史的海洋小都市の後背地域を対象に平成28年9月26日から10月12日まで現地調査を行った。昨年度は海岸沿いの小都市サヴォナ、アルベンガなどが中心の調査だったが、今年度は内陸の後背都市ドルチェ・アックア、タッジア、チェリアーナなどを集中的に調査した。現地の各都市の市役所、文書館にて史料・資料を渉猟するとともに、多様な古地図、絵図などの地図資料(カルトグラフィア)を収集した。また、写真撮影、部分的な実測も合わせて行い、一定の成果が得られた。一方で、ジェノヴァ大学建築学部図書館に通い、後背の丘陵地に点在する中世都市の文献などをコピーし収集した。今後は、特にトリノ公国が支配してきたピエモンテ州の小都市との歴史的街道のネッワークの形成に着目したピエモンテ州側の調査も不可欠であることが判明した。 今回対象とした都市は、前年度に対象としたジェノヴァ西側の海洋小都市と比較すると、内陸のトリノ公国の国境に接する位置にあるため、来年度予定しているピエモンテ州の街道沿いの内陸小都市と強い関係をもっていることが実感できた。また、どの都市も類似した形成過程というよりは、それぞれに固有な過程を経て形成されていることが確認できた。平成29年3月には、短期だがロンドンの王立建築家協会RIBAの図書館に通う機会を得て、英文のイタリア都市資料(特にリグーリア関係)を収集することができたことも、今後の研究に向けた大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10月と翌年の3月の調査・資料収集で持ち帰ったすべてのデータを整理して分析を進めている。図像資料以外はすべてイタリア語、フランス語、ラテン語であるため解読作業に時間がかかっているが、来年度の継続調査(10月)に出かける前には、一通り完了させる予定である。また各都市のカタスト(19世紀前半の課税用不動産登記台帳と付属地図)は筆記体で書かれているため、文字の読み取り作業にてまどっているが、時間さえかければ修了できる作業であるため、研究全体の進行はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は10月に2週間ほどの現地調査を遂行する予定である。昨年度に続きジェノヴァ西側のリグーリア州西部の歴史的海洋小都市の後背地が、海洋都市との関係の中でどのような発展過程を持つに至ったか、またリグーリア州からピエモンテ州へとつながる山間の街道ネットワーク、峠を境とするジェノヴァ共和国とトリノ公国との政治的関係がに内陸都市に与えた影響に重点を置き調査を進める。今年度の対象都市はピエモンテ州側のチェーヴァ、モンドヴィ、クーネオ、サルッツォを予定している。また、最終年度にあたるため、4年間の実績報告書をまとめる。
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Research Products
(1 results)