2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞認識因子を組み込んだインテリジェント型細胞分離基材の開発
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26420714
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
長瀬 健一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10439838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 温度応答性 / インテリジェント界面 / 細胞分離 / 高分子ブラシ / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では細胞を選択的に接着させる温度応答型インテリジェント界面の設計を目的としている。平成27年度の研究期間において以下の検討をおこなった。ポリビニルベンジルクロライド(PVBC)のマイクロファイバーをエレクトロスピニングにより紡糸し、ファイバー表面の開始基から温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を原子移動ラジカル重合(ATRP)により修飾した。数種のヒト由来細胞を用いて37℃における接着性、20℃における脱着性を検討したところ、37℃では、細胞種によって接着性が強い細胞と接着しない細胞が存在し、また、温度を20℃に下げたところ、接着していた細胞が脱着することが確認できた。これにより、PIPAAm修飾マイクロファイバー表面への細胞接着性の違いと温度変化による細胞脱着を利用した細胞分離システムを提案した。 また、ビニルベンジルクロライド(VBC)とスチレン(St)の共重合体P(St-co-VBC)のキャスト薄膜を作製し、ナノインプリントリソグラフィーを用いて表面に凹凸構造を作製した。さらにATRPにより凹凸表面にPIPAAmを修飾する事で、温度変化による濡れ性変化を増強する表面を作製した。この表面への細胞種ごとの細胞接着性の違いによる細胞分離への検討をおこなう。 さらには、細胞外マトリクスなどのタンパク質を強固に接着させる目的で強イオン性のポリ(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(PAPTAC)セグメントと温度応答性のPIPAAmのセグメントを有するブロックコポリマーブラシ表面を作製した。これらは、前年度に検討したランダム共重合体表面と比較して、強固にタンパク質を接着させる事が確認できたため、細胞接着性材料、細胞分離材料への応用をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の検討により温度応答性マイクロファイバーの作製と細胞分離への検討、ナノインプリントリソグラフィーを用いた温度応答性凹凸基板の作製と細胞接着性の検討、強イオン性ブロックコポリマーブラシ構築によるタンパク質の吸着制御を行っており、これらにより様々な方法で各種細胞の分離・精製の可能性を示せた。 また、温度応答性界面への細胞認識リガンドの導入にも着手しており、現在までの検討よりも精度の高い細胞分離が行える事が期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、従来までに完成させた温度応答性マイクロファイバー、温度応答性凹凸基板を用いて細胞分離カラム等のより実用的な細胞分離装置の設計を行う。 さらには細胞認識リガンドを有する温度応答性界面についてのより詳細な検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に主に行った検討である温度応答性マイクロファイバーの作製、温度応答性凹凸基板の作製について、従来の概算額よりも消耗品に掛かる費用が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は様々な種類の細胞認識リガンドを購入する。さらには細胞分離カラムに用いる消耗品、培養液等を購入する。また、研究期間で得られた研究成果の報告を行うため、学会発表、論文投稿に関わる費用を前年度よりも多く使用する予定である。
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Research Products
(7 results)