2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞認識因子を組み込んだインテリジェント型細胞分離基材の開発
Project/Area Number |
26420714
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
長瀬 健一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10439838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温度応答性 / インテリジェント界面 / 細胞分離 / 高分子ブラシ / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では細胞を選択的に接着させる温度応答型インテリジェント界面の設計を目的としている。平成28年度の研究期間において以下の検討をおこなった。平成27年度の検討から継続して温度応答性マイクロファイバーを作成した。ポリビニルベンジルクロライド(PVBC)のマイクロファイバーをエレクトロスピニングにより紡糸し、ファイバー表面の開始基から温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を原子移動ラジカル重合(ATRP)により修飾した。また、温度応答性マイクロファイバーへの脂肪由来組織の細胞の細胞接着・脱着挙動の詳細検討を行った。その結果、脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)がマイクロファイバーに選択的に接着する事を発見した。これにより、作製したマイクロファイバーを用いて脂肪組織から、ADSCの精製が可能である事を示した。 また、平成27年度に引き続き、ビニルベンジルクロライド(VBC)とスチレン(St)の共重合体P(St-co-VBC)のキャスト薄膜を作製し、ナノインプリントリソグラフィーを用いて表面に凹凸構造を作製した。さらにATRPにより凹凸表面にPIPAAmを修飾した。血管内皮細胞(HUVEC)、繊維芽細胞(NHDF)、骨格筋筋芽細胞(HSMM)の接着脱着挙動を確認したところ、穴の開いた形状の基板では、37℃でNHDF、HSMMは接着し、HUVECは接着しない傾向が見られた。また、温度を20℃に下げると、接着していたNHDFが脱着し、HSMMは脱着しなかった。これにより、温度変化のみで細胞を分離する凹凸基板の作製指針を示した。 さらには、細胞外マトリクスなどの細胞接着に関与するタンパク質を接着・脱着させる目的で、強イオン性のポ PAMPSセグメントと温度応答性のPIPAAmのセグメントを有するブロックコポリマーブラシ表面を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の検討により温度応答性マイクロファイバー、温度応答性凹凸基板の作製と細胞分離への応用を示せた。また、温度応答性マイクロファイバーの細胞分離への検討は当該年度内に投稿論文が公開されており、温度応答性凹凸基板については論文投稿準備の段階まで至っている。また、新たな温度応答性の機能性表面として強酸性官能基を有するブロックコポリマーブラシの作製も行い、タンパク質を強固に接着させることを見出している。加えて細胞認識リガンドを基板表面への導入にも着手しており、より高精度な細胞分離が行える事が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、温度応答性マイクロファイバー、温度応答性凹凸基板を用いた細胞分離の新たな応用例を模索する。また、細胞認識リガンドを有する温度応答性界面についてより詳細な検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度に行った温度応答性マイクロファイバーの作製、温度応答性凹凸基板の作製について、従来の概算額よりも消耗品に掛かる費用が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は様々な種類の細胞認識リガンドの購入を行う。さらには細胞分離カラムに用いる消耗品、培養液等の購入を行う。また、研究期間で得られた研究成果の報告を行うため、学会発表、論文投稿に関わる費用を多く使用する予定である。
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Research Products
(14 results)