2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波高速加熱を利用した結晶化過程の精密制御によるゼオライト膜のナノ薄膜化
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26420776
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
樋口 健志 山形大学, 理工学研究科, 助教 (40312756)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゼオライト合成 / マイクロ波加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
【課題1. マイクロ波加熱によるゼオライトナノ薄膜の形成】 1.ゼオライト前駆体ゲルの薄膜形成 AlおよびSiのアルコキシドの共加水分解・共重縮合によりアルミノシリケートゲルを調製し,非多孔性ガラス基板上にコーティングして薄膜化した.薄膜形成のためには基板に対して原料溶液が良好な濡れ性を持つことが必要である.そのためまずガラス基板表面をアルミン酸ナトリウム溶液で処理し,接触角法により濡れ性を評価した.次いで原料ゲル溶液にポリエーテルや多糖類等の水溶性高分子を添加して粘度を調節し,スピンコーティングにおける濡れ性を評価した.これらによってコーティング条件を最適化した結果,熱処理により1μm程の膜厚の薄膜形成が可能であることを見出した. 2.マイクロ波加熱によるゼオライト形成 アルミノシリケートゲル溶液にマイクロ波照射することによりゼオライト形成を試みた.マイクロ波照射装置としては市販のマイクロ波加熱調理器具(電子レンジ,装置1)と申請設備(装置2)を用いた.既往の報文におけるゼオライト形成反応の活性化エネルギーから,ゼオライト形成に必要な照射出力・時間を推算した.装置1では加熱によってゲル溶液が沸騰して失われるため必要な量のマイクロ波照射が困難であったのに対し,装置2では沸騰はするものの冷却管により凝縮させる機構のため連続的にマイクロ波照射が可能であった.装置2により,ヒーターによる通常の加熱方法であれば数時間から1日程度要するところ40分でゼオライト化できることを明らかにした.得られたゼオライトはX線回折法によりNaA型と同定された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載の計画において前駆体ゲルの薄膜形成およびマイクロ波加熱によりゼオライト形成 を達成するとしているところ,「研究実績の概要」で先述の通り概ね達成していることから,概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のように前駆体薄膜をゼオライト化させるに当たっては,申請書の研究計画に示したゼオライト形成反応の活性化エネルギーや生成エンタルピーへの深い理解が必要なことから,平成27年度においては反応の経時変化について詳細な実験データを取得し,反応モデルを構築して動力学的諸定数の推定を試みる.
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Causes of Carryover |
当初計画から進展が見られたことから前倒し請求したが,そのうち一部については当初計画通り平成27年度に実施することとなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画通り,平成27年度において使用する計画である.
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