2015 Fiscal Year Research-status Report
階層的ナノ空間を持つ無機多孔体の触媒機能化と環境浄化反応への応用
Project/Area Number |
26420786
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
亀川 孝 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (50525136)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三次元階層構造 / ナノ空間材料 / 無機多孔性材料 / マクロ細孔 / メソ細孔 / 環境浄化 / 金属触媒 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、三次元階層的なナノ空間構造と形態を精密設計した無機多孔性材料の機能を巧みに活かした触媒・光触媒材料の創出と環境浄化反応への応用に取り組んでいる。昨年度より進めている金属ナノ粒子の高分散担持触媒の液相反応系における機能・特性の評価に加え、本年度は、空気浄化を目的とした気相反応系への応用も検討した。さらに、二酸化チタンなどの光触媒材料との複合化に用いる高機能な担体材料としての利用も推進した。具体的には以下の項目を中心に研究を行った。(1) 無機酸化物中に単に何もない領域にあたるマクロおよびメソスケールの規則的な細孔構造を導入すると、ニッケル、パラジウム、白金などを小さな粒子径と狭い粒径分布にて分散担持できた。水素化反応などにおいて触媒活性が向上し、特にサイズの大きな分子の関与する反応系で優れた触媒性能を示すことを明らかにした。(2) アセトアルデヒドなどの有機物の燃焼反応における触媒特性を検討した。ナノ空間構造を制御することで反応物の吸着性や拡散性が大きく変化し、気相反応においても調製した金属担持触媒が比較的高い触媒活性を示すことを確認した。(3) 水中に存在する希薄な有害成分の吸着濃縮と分解除去を目的として、二酸化チタン光触媒との複合化を検討した。ナノ空間構造、特にマクロスケールで細孔構造を制御すると、色素分子やビスフェノールAなどの各種汚染物質の吸着・濃縮性能が大きく向上することを見いだした。また、それに伴い、希薄な有機物の光触媒分解活性も大きく向上した。来年度も引き続き、反応の舞台となる三次元階層的なナノ空間の構造と機能に立脚した触媒・光触媒材料の開発に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題を検討する中で、無機多孔性材料中に構築したマクロおよびメソスケールの規則的なナノ空間構造の、触媒・光触媒反応におけるユニークな機能・特性・役割が明らかになりつつある。金属担持系では空気浄化を目的とした気相反応系への応用を検討した。また、二酸化チタンなどの光触媒材料との複合化も推進し、高性能な触媒・光触媒材料の設計のための指針を得ることができた。当初の目標に向けて概ね順調に、研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究より得られた知見をもとに、三次元階層的なナノ空間構造を有する無機多孔性材料を用いる触媒・光触媒材料の開発に継続して取り組む。特に、マイクロ・メソに続くナノ空間としての規定された階層的なマクロ細孔空間の機能の明確化に努める。水処理や空気浄化などの環境保全をターゲットとする反応系への応用を進め、機能・特性を検討する。
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